ツール・ド・フランス2019



ツール・ド・フランスとは

ツール・ド・フランスとは 栄誉ある「マイヨ・ジョーヌ」こと、黄色に輝くリーダージャージを目指して男たちが凌ぎを削る

1919年7月19日、ツール・ド・フランスの真っ只中に、史上初めて「プロトン内で総合リーダーを見分けるジャージ」がお目見えした。あれから通算266人、計24カ国の選手により黄色いジャージは引き継がれ、2019年でちょうど100年。今年で第106回目を数える世界最大の自転車レースは、いまや自転車界のシンボルとなったマイヨ・ジョーヌの、誕生100周年を華やかに祝う。

記念すべき大会の開幕地に選ばれたのは、ベルギーのブリュッセル。つまり史上最強の自転車選手エディ・メルクス……つまりツール総合5勝にして、マイヨ・ジョーヌを史上最多の111区間(97日間)着用した「カニバル(人食い)」のお膝元だ。黄色いジャージを代表するにふさわしい大チャンピオンの、ツール初制覇(1969年)から50周年というのもまた、今大会の大きな目玉のひとつ。

だからこそ2019年大会のマイヨ・ジョーヌには、特別な趣向が凝らされた。なんと毎日、図柄が変わるのだ!そして全部で21枚用意されたスペシャルデザインジャージの、名誉ある1枚目を身にまとうのは、7月6日(土)、ブリュッセルでの軽い上りスプリントフィニッシュを制した選手だ。

総距離3480.3km、全21ステージの内訳は、平坦7、起伏5、山岳7(うち山頂フィニッシュ5)、個人タイムトライアル1、チームタイムトライアル1。休息日は2回で、飛行機移動は1回。史上23回目の外国スタートを切った後、第3ステージで大会の本国へと帰還する。

大会最初のヒエラルキーは、2日目のチームタイムトライアルで出来上がる。クライマーにとって幸いなのは、個人タイムトライアルは第13ステージの1度だけ。27.2kmと距離もそれほど長くはない。

むしろ今大会は、本物のクライマー向けに作られた。ヴォージュ山塊→中央山塊→ピレネー山脈→アルプス山脈と、4つの大きな山地を通過する。しかも山頂フィニッシュは計5回と多く、うち3回が標高2000m超級!ツールの伝説峠トゥルマレ&ガリビエが両方登場し、アルプスで最も標高の高い舗装路イズラン峠(2770m)も通過する。

山男たちの最初の戦いの舞台はヴォージュ山塊、第6ステージのプランシュ・デ・ベル・フィーユ。おなじみ勾配20%超の坂道だが、今年は単純な激坂一発勝負ではない。その前に7つの峠が組み込まれ、本格派難関山岳ステージが用意された。早くも2019年夏の勢力図が、ぼんやりと見えてくるだろう。

中央山塊でトリッキーな起伏をこなした後、プロトンは大会2週目にピレネー山脈へと分け入る。初日はダウンヒルフィニッシュで脚だめし。さらに軽い起伏を含む個人タイムトライアルを挟んで、2日連続の山頂フィニッシュが待ち構える。中でも史上3度目のトゥルマレ山頂ゴールが用意された第14ステージは、近頃流行りの117.5km超短距離決戦だ!

ピレネーを抜け出すころには、総合の順列は完成形に近づき、タイム差もすでに大きく開いているはずだ。しかし2019年大会のアルプス3連戦は、間違いなく、大逆転の可能性を秘めている。

なにしろ第18ステージは、ガリビエを含む標高2000m超の巨大峠を3つ乗り越えねばならない。翌日はイズランの2770mを乗り越え、さらにティーニュでの山頂フィニッシュを争う。そしてパリ到着前夜の第20ステージの終わりには、ヴァル・トランス山頂へと続く、全長33.4kmもの気が遠くなりそうな長い上りが待っている……!

そして標高2365mの高みで、総合首位に立った者こそが、翌日のパリに2019年ツール総合覇者として凱旋する。そしてこの世に1枚しか存在しない素敵なデザインのマイヨ・ジョーヌを、世界で一番華やかな大通りシャンゼリゼで身にまとうのだ。















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