ツール・ド・フランスを知るための100の入り口
ツール・ド・フランスを知るための100の入り口:たすき掛けの謎
古いツールの写真には、たすき掛けで何かを背負っている選手の姿がある。これは、パンク時の予備チューブラータイヤ(チューブが内部に縫い込まれているタイヤ)だ。
ツールは「一周」という発想を、移動しながら技を磨いた巡歴職人の姿を重ね合わせたため、「自力」や「自給自足」の精神を重んじた。さらにそれは、スポーツマンシップの意識ともマッチした。
だから初期のツールでは、故障時の修理も自分で行い、道具持参で走ることを余儀なくされた。
さらに、スタート時とゴール時では過不足なく同じものを所持していなければならず、暑くなって脱いだ防寒具や、パンクしたタイヤも、途中で捨ててはならなかったのだ。
※本企画は2013年6月に実施されたものです。現在と情報が異なる場合がございますが、予めご了承ください。
写真(イメージ):Yuzuru SUNADA