ツール・ド・フランス2025
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ツール・ド・フランスとは

ツール・ド・フランス 2025 とは

※2024年の情報です
ツール・ド・フランスはオリンピック、サッカー・ワールドカップに続くビッグスポーツイベント
フランスの夏を、黄色に染める風物詩。世界トップレベルの自転車選手たちだけに許された、栄光のマイヨ・ジョーヌ争奪戦。ツール・ド・フランスはシーズン最高にして最大の自転車ロードレース大会であり、オリンピック、サッカー・ワールドカップに続くビッグスポーツイベントとさえ称される。全22チーム・176人で構成されたプロトンと、150台からなる広告キャラバン隊は、毎夏3週間かけて町から村へ、山から谷へと、約3500kmもの距離を駆け巡る。通算1200万人もの観客をコース沿道に誘い出し、地上190を超える国の自転車ファンをTVの前に釘付けにする。
第111大会は初めてづくし
史上第111目の開催となる2024年大会は、長く豊かなツールの歴史の中でも、とりわけスペシャル。例年より1週間早い6月29日(土)に、ツール史上初めてイタリアで幕を開ける。さらには8月末にパリで夏季五輪が開幕する影響で、1903年の創設以来初めて、ツールはパリに一切立ち寄らない。しかも1989年以来35年ぶりに、21日間の戦いは個人タイムトライアルで締めくくられる!
イタリア人が初めてツール総合制覇から100年目
オッタヴィオ・ボッテッキアが、イタリア人として初めてツール総合制覇を成し遂げてからちょうど100年目の夏、ツールはたっぷり3日半かけてかの国のチャンピオンたちにオマージュを捧げる。グランデパールの地に選ばれたのは、ジーノ・バルタリの生まれ故郷フィレンツェ。マルコ・パンターニが20年前に夭逝した地リミニで第1ステージは終わり、第2ステージはそのパンターニの故郷から始まる。3日目にはファウスト・コッピが天に召されたトルトーナで、「コッピ記念登坂」が争われる。
第4ステージ、この「カンピオニッシモ」が1949年ジロで伝説的な192kmの独走を成功させたピネローロの町を出ると、いよいよ国境を越え大会の母国フランスへと入場だ。
大会4日目にして難所ガリビエ峠
イタリア初日にいきなりアペニン山脈を横断したが、この4日目こそが、今大会初の難関山岳ステージ。しかもガリビエ登坂で、大会史上最も早く標高2000m地点を超える。ただしアルプスでの山岳バトルは、1日限りで一旦終了。そこから半時計回りで進むツール一行は、中央山塊、ピレネー山脈を経て、最後に改めてアルプスへと戻ってくる。
むしろ大会1週目のメインイベントは、第7ステージの個人タイムトライアル25.3kmと、第9ステージの未舗装路全14セクター・計32.2kmになるはずだ。前者はブルゴーニュのぶどう畑の起伏を、後者はシャンパン用のぶどう畑の「白い道」を利用した難コース。マイヨ・ジョーヌ争いも、この2日間で大きく動くに違いない。
パリの南150kmほどのオルレアンで1回目の休息日を過ごしたら、首都には向かわず、プロトンは南を目指す。第10ステージでは風に煽られ、第11ステージでは中央山塊のアップダウンに脚を削られ、大会2週目の週末にはピレネー2連戦へと挑みかかる。
ピレネーの巨人トゥルマレ、革命記念日にはプラトー・ド・ベイユ
第14ステージは、ピレネーの巨人トゥルマレを経由して、プラ・ダデでの今大会最初の山頂フィニッシュ。ちなみにガリビエ(=アンリ・デグランジュ記念賞)とトゥルマレ(=ジャック・ゴデ記念賞)が揃って同一大会に登場するのは、実に5年ぶりとなる。一方で「革命記念日」の第15ステージには、プラトー・ド・ベイユでの山頂決戦が用意された。なにより今大会最多4800mの標高差が、選手たちの脚を大いに苦しめるだろう。
最終週は3つの山頂フィニッシュと個人TT
そして近年屈指の、ハードな3週目へ。平坦ステージは全部で8つ用意されているから、決してスプリンターが冷遇されているわけではない。ただしパリ・シャンゼリゼ大通りへ帰り着けない今年、2回目の休息日の翌日、第16ステージが早くも大会最後のスプリントチャンスとなる。
残す5日間には、3つの山頂フィニッシュと1つの個人タイムトライアルが詰め込まれた。中でも大会最後の金・土曜日は、いずれ劣らぬクレイジーな数字が並ぶ山頂フィニッシュ2連戦。第19ステージが「ヨーロッパアルプス最高標高舗装道路」にして「ツール史上最高標高地点」であるボネット標高2802mを含む2000m級×巨大3峠であるならば、ニースの裏山で繰り広げられる第20ステージは、わずか138.2kmのコースで累積獲得標高4600mという激烈な戦い。2020年以来4年ぶりに、大会3週目でのマイヨ・ジョーヌ交代劇も期待される。
2級ラ・テュルビ峠とエズ峠
もしかしたら、35年ぶりの、最終日のマイヨ・ジョーヌ交代劇だってあるかもしれない!なにしろ全部で7つの山岳ステージ、5つの山頂フィニッシュ(第14・15・17・19・20ステージ)を終えてもなお、総合争いが決していない可能性はある。最終日第21ステージには、「真実の種目」個人タイムトライアルが待ち受ける。イタリア、サン・マリノに続く今大会3つ目の外国モナコから走り出す全長33.7kmのコース途中には、2級ラ・テュルビ峠とエズ峠が立ちはだかる。
パリ五輪開幕の5日前、史上初めてパリ以外の都市で、ツール・ド・フランスが幕を閉じる。閉幕の地ニースのフィニッシュラインに、最後の1人が走り込む瞬間まで、2024年大会の行方は分からない。
text:宮本あさか