ジロ・デ・イタリア2025

近年の外国開幕のジロでは、首都タイムトライアルがすっかり恒例だ。今回もまた、アルバニアの首都ティラナで、個人タイムトライアルが華々しく開催される。市街地を駆け巡る全長13.7kmのコースで、かの国の豊かな文化と複雑な歴史とを堪能しつつ、総合本命たちの脚の仕上がりにも注目したい。

民族的英雄スカンデルベクの名を冠する中央広場に、スタートラインは引かれる。オスマン調、ファシズム建築、ソヴィエト建築が同居する風景の中から、第1ステージ総合順位の最下位→首位の順に、選手たちは1人ずつコースへと飛び出していく。

町を貫くラナ川のほとりを走りつつ、イスラム教のモスクやキリストの聖堂の間をすり抜ける。サッカー代表ホームスタジアムの「アレーナ・コムバターレ」や、「ティラナのピラミッド」と呼ばれる旧政権時代の建造物にも、ジロ一行は視線を向ける。

コース前半と後半は、典型的な市街地コース。道は平坦で、長い直線といくつかの直角で構成されている。ただ中盤には、ティラナ自然公園の外周を通って、国立殉教者墓地を目指す4級山岳が待っている。登坂距離1.3km、平均勾配5.6％、最大9％の坂道は、決して簡単ではない。頂上の残り5.7km地点の、中間計測地点でタイムをチェックしたら、あとは下りと直線だけ。ラスト2kmは、第1ステージと完全に同じ道を走る。

開催委員会の計算によれば、時速52km前後の優勝争い。つまりトップ選手の全力疾走タイムは、15分前後と予想されている。

text：宮本あさか