コースの特徴
3週間にわたるマリア・ローザ争いに、ついに審判が下る。山頂フィニッシュ3連戦の締めくくりの、今大会3回目の個人タイムトライアル。ライバルたちとの直接対決はすでに前夜で終了し、後はひたすら自分とストップウォッチと山と向き合うだけ。ローマでの戴冠式は、24時間後に迫っている。
全長18.6kmのコースは、2つの正反対の道が組み合わさって出来ている。スロヴェニアとオーストリアとの国境線からほんの数キロの町、タルヴィーズィオから走り出すと、まず序盤10.8kmはほぼ平坦路を行く。道幅も広く、カーブも少なく、いわゆるスペシャリスト向けのコースと錯覚しそうになる。
ちなみに自転車専用路「アルプ・アドリア・サイクル・パス」が、前半6kmのコースを沿うように走る。これは古い線路跡を利用したもので、できる限り高い山を避けながら、オーストリアのサルツブルグからアドリア海岸までを横断できるルートなのだとか。ただし、この日のジロは高い山を避けるどころか、積極的に立ち向かう。10.8km地点(残り7.8km)で第1計測を終えた直後に、1級モンテ・ルッサーリへの登坂へと取り掛かる。
全長7.3kmの山道は、地図アプリで「道」と認識されないほど鬱蒼とした森の中。狭く、ヘアピンカーブの連続で、平均勾配は12.1%。完全にピュアクライマー向けのコースだ。しかも序盤約5kmにわたって平均15.3%で、最大22%ゾーンもあり。一旦勾配は緩むものの、フィニッシュ手前1.5kmから再び勾配は11.9%に跳ね上がるし、またしても22%の波がやってくる。まるで拷問!
山道の14.3km地点(残り4.3km)と最終盤17.8km地点(残り0.8km)にも、それぞれタイム計測が予定されている。また開催委員会の計算によれば、優勝タイムは37分前後の予定。前日の最下位から降順スタートは変わりなく、ただ全選手を3グループに分け、各組の間にはそれぞれ45分の休憩が挟まれる。気になる自転車交換は、メカトラ理由であればいつなんどきでも許可されるが、平地用から山岳用への切り替えは決められたゾーン(第1計測地点の直前)で行う必要がある。
ところでグランツール最終日前日の山岳TTと言えば、最後に行われた2020年ツールの教訓を決して忘れてはならない。57秒リードで総合首位に立っていながら、ステージの終わりには59秒遅れの総合2位に後退していた……そんな悪夢が、イタリアの激坂でも繰り返されない理由はない。
text:宮本あさか
距離 | ポイント | 現地時間 | 日本時間 | タイム予想 平均 27km/h |
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第1走者 25km/h |
最終走者 29km/h |
第1走者 25km/h |
最終走者 29km/h |
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0km地点 | スタート | 11:30 | 17:52 | 18:30 | 00:52 | 00'00" |
10.8km地点 | 第1計測 | 11:44 | 18:05 | 18:44 | 01:05 | 14'10" |
14.3km地点 | 第2計測 | 11:59 | 18:16 | 18:59 | 01:16 | 26'50" |
17.8km地点 | 第3計測 | 12:13 | 18:27 | 19:13 | 01:27 | 39'20" |
35.0km地点 | ゴール | 12:15 | 18:29 | 19:15 | 01:29 | 41'20" |