コースの特徴
2023年ジロが、文字通り、最大の山場に突入する。ドロミテ山塊を舞台に3日連続の山頂フィニッシュ。ただ開催委員会の分類によれば、この日はあくまで「中級山岳」に過ぎない。走行距離も161kmと、今大会の山岳ステージの中では最短だ。ただし最終36kmに3つの峠が詰め込まれ、しかも激坂続き。ダウンヒルも侮れない。長く辛い我慢比べではなく、むしろ速く目まぐるしく激しい戦いが期待される。
ヴェネツィア平原から走り出したプロトンが一心不乱に目指すのは、お待ちかね、北のドロミテ。スタートから28km、ついに山道へとぶち当たる。一定勾配が延々と続く1級クロゼッタ(登坂距離11.6km、平均勾配7.1%、最大11%)、さらに細かい上下を経て4級ピエーヴェ・ダルパゴ(3.3km、5.5%、12%)を終える頃には、集団は自然と小さくなっていることだろう。
その後50kmほど谷間を行く。仕切り直しの時間か、凄まじいチェイスの機会か。とにかく長い平地を無事にやり過ごし、最終盤の山に好位置で飛び込むためにも、アシストたちの頼もしいサポートが必須となる。
特にラスト3峠の1つ目、1級フォルチェッラ・チビアーナ(9.6km、7.8%)は、スタートダッシュを絶対に失敗してはならない。直前に1kmの急坂ダウンヒルが待ち受けるし、上り始めた途端に、いきなりガツンと最大勾配15%ゾーンが待つ。山道はその後少し緩やかになるものの、後半5.5kmは平均9.3%という残酷さ。
12kmの急降下の後、すぐさま別の激坂へ。最終ゾルドの本道を、ふと横道に逸れる形で上り始まる2級コイの5.8kmの山道は……平均勾配9.7%。なにより後半3.4kmは10.6%で、うち2kmは平均13%超!最大19%にも至る。山頂からの約3kmの短い下りも、ある意味、容赦ない。小刻みなヘアピンカーブの連続で、勾配はマイナス10%近くにまで下がる。スピードとテクニックのバランスが試される。
そこから最終ゾルドの本道へ。残すはフィニッシュまで2.7km。うち1.5kmにわたり8%超・最大10%ゾーンが存在するし、なにより1kmの間にヘアピンカーブ8連続というから、最後の最後までハラハラは続く。
ちなみにかつて最速ダウンヒラーとして名を轟かせたP・サヴォルデッリが、2005年にこの山を制している。18年前はコイ峠への寄り道はなかったが……ゾルド突入前の下りで鮮やかに先行し、勝負を有利に運んだからこその成果だった。
text:宮本あさか
距離 | ポイント | 現地時間 | 日本時間 | ||||
---|---|---|---|---|---|---|---|
36km/h | 34km/h | 32km/h | 36km/h | 34km/h | 32km/h | ||
0km地点 | スタート | 12:30 | 12:30 | 12:30 | 19:30 | 19:30 | 19:30 |
40.8km地点 | 1級山岳 | 13:44 | 13:50 | 13:56 | 20:44 | 20:50 | 20:56 |
68.3km地点 | 4級山岳P | 14:23 | 14:31 | 14:40 | 21:23 | 21:31 | 21:40 |
115.7km地点 | 中間SP | 15:34 | 15:46 | 15:59 | 22:34 | 22:46 | 22:59 |
135.2km地点 | 1級山岳 | 16:11 | 16:25 | 16:42 | 23:11 | 23:25 | 23:42 |
147.1km地点 | 中間SP | 16:25 | 16:40 | 16:57 | 23:25 | 23:40 | 23:57 |
155.7km地点 | 2級山岳 | 16:47 | 17:04 | 17:24 | 23:47 | 00:04 | 00:24 |
161.0km地点 | 2級山岳 ゴール |
16:56 | 17:15 | 17:36 | 23:56 | 00:15 | 00:36 |