WECの楽しみ方

2018年~2020年にTOYOTA GAZOO Racingがル・マン24時間を3連覇。また中嶋一貴/フェルナンド・アロンソ/セバスチャン・ブエミ組が2018-19シーズンを、マイク・コンウェイ/小林可夢偉/ホセ・マリア・ロペス組が2019-20シーズンでチャンピオンを獲得し、ワールドタイトルを獲得したWEC世界耐久選手権。いったいどんなレースで、そしてどんなマシンが戦うレースなのだろうか。生中継を見る前に、簡単ではあるがおさらいしておこう。

1923年に始まったル・マン24時間耐久レースは、世界三大レースのひとつであり、耐久レースの頂点。そしてこのレースの規定がWEC世界耐久選手権の大元だ。もともとヨーロッパでは、修学旅行のように若者がヨーロッパ大陸を旅行する『グランドツアラー』という文化があった。古くは馬車が使われていたが、自動車の登場とともに高速で長距離を移動できるスポーツカー(グランドツアラー、グランツーリスモ等さまざまな呼び方があるが、略して『GT』)が生まれ、長距離を安全に、かつ速く走れる車両を比べるという意味で、ル・マンは高性能スポーツカーが覇を競うレースとなった。

そのため、ル・マン24時間を戦うことができるのは、『二座席のスポーツカー』というのが基本。レギュレーションの狭間で一座席のレーシングカーが戦ったこともあるが、かなり例外的だ。そしてル・マンのもうひとつの側面として、レースに勝つために革新的な技術が磨かれてきた場所というものがある。市販車ではない純粋なレーシングカーで、新技術を取り入れていたものを『プロトタイプカー』と呼ぶようになった。

そんなル・マン24時間を戦うことができる規定に則ったレーシングカーで争われる世界選手権が、2012年にル・マン24時間の主催者のACOフランス西部自動車クラブと、FIA国際自動車連盟により復活したWECだ。2018年からは春開幕でル・マン24時間を最終戦とする“スーパーシーズン”という形式が採られていたが、2020年の新型コロナウイルスの影響で、2021年からはふたたび通常のスタイルに戻る。そして、2021年はハイパーカー規定導入をはじめとした新時代の幕開けとなるシーズンだ。

より多くの門戸を開くための新規定=ハイパーカー

ル・マンではこれまで長い歴史のなかでさまざまな規定の紆余曲折があり、2019-2020シーズンまでのWECは、LMP1というプロトタイプカーカテゴリーを頂点としていた。しかし、少しずつ台数や自動車メーカーの参加が減少し、2018年頃から新たな規定の導入が検討されてきた。こうしてできあがったのが『ハイパーカー』カテゴリーだ。

当初は、1億円を超えるような超スーパースポーツカーをベースとしたカテゴリーが想定されていたが、より多くの参入を招くため、専用に開発されたプロトタイプレーシングカーの参加も認められた。これまでのLMP1とは車重や車体は大きく重くなる一方、パワーは減少。ハイブリッドも搭載可能だが前輪の駆動のみ(これまでは四輪力行も可能)で、空力の制約も大きくなるが、逆にメーカーのアイデンティティを活かしたデザインが可能となった。また、性能調整により各車のパフォーマンスがそろえられる。

このハイパーカー規定に加え、アメリカでデイトナ24時間を頂点とするIMSAで導入されるのが、『LMDh』規定。LMP2規定をベースに独自エンジンやボディ、共通ハイブリッドを導入し、メーカーが非常に参入しやすくなっており、この規定は2022年のWECに導入され、ハイパーカーとパフォーマンスを合わせている。

2021年に向けては、王者TOYOTA GAZOO Racingが新時代のイニシアチブをつかむべく新開発したトヨタGR010 HYBRIDがシリーズの主役となり、映画監督のキャメロン・グリッケンハウスが興したスクーデリア・キャメロン・グリッケンハウスがその対抗馬として挑むことになる。また、フランスのアルピーヌがLMP1カーを使い、性能調整でハイパーカークラスに参戦する。

ハイパーカー規定は、今後プジョー、バイコレス、そして50年ぶりのトップカテゴリーへの復帰となるフェラーリが参入予定。さらにLMDhにはポルシェ、アウディも参入を予定しており、ふたたびスポーツカー隆盛の予感がある。また、これらのマシンは現代の潮流に乗ってプライベーターに販売される可能性も高く、多くの台数が見込まれる。

そして、もうひとつのプロトタイプカーのカテゴリーがLMP2だが、基本的には、『LMP1を目指すプライベーターとアマチュアのためのカテゴリー』とされている。2017年から指定されたシャシーとワンメイクエンジンの組み合わせだが、今後LMDh参入へ向けた活動を行うチームも増えそうな気配だ。

“もうひとつの主役”GTE。2021年は新たな日本チームも参戦

そして、“もうひとつの主役”と言える市販車ベースのGTカーのカテゴリーがLM-GTEだ。近年SUPER GT300クラスをはじめ世界中のレースで活用されているGT3カーとパフォーマンスが近くなっていたが、ル・マン24時間を主催するACOはGT3とLM-GTEの違いを明確にするために、2016年から新規定を導入した。

これに合わせ、それまでシリーズを支えていたポルシェやフェラーリ、アストンマーティンに加えフォードやBMWが参入したが、2018-19シーズン限りで撤退。また、LM-GTE Proからはアストンマーティンも退き、2021年シーズンはポルシェvsフェラーリの争いとなる。

そんなLM-GTEクラスだが、こちらもドライバーの組み合わせによって『LM-GTE Pro』と『LM-GTE Am』が存在する。Proの方は最新のマシンで参戦できるが、Amは1年落ち以上のマシンでの参戦となる。

また近年、ル・マン24時間を目指すジェントルマンドライバーたちによって多くのエントリーを集めているのがLM-GTE Am。こちらは車種も多い。2021年に向けては、日本からD'station Racingがアストンマーティンでの参戦を決めており、2回目のル・マン24時間挑戦を目指す星野敏、国内外でトップドライバーとして活躍してきた藤井誠暢がドライブする。

WECの魅力は、その多種多様な車種、そして特にLMP2やLM-GTEでは、拮抗した戦力差による耐久レースとは思えないほどの戦いの激しさにある。各クラスで戦いが展開されるため、テレビ中継も画面の切り替わりが多い。

ちなみに、テレビでWECのレースを見る方に便利なのは、ゼッケンの色だ。ハイパーカー=レッド、LMP2=ブルー、LM-GTE Pro=グリーン、LM-GTE Am=オレンジと覚えておこう。それだけでどのクラスか一目瞭然だ。また、マシン側面についているみっつのライトがそれぞれのクラスでの順位を示す(ひとつなら1位、ふたつなら2位、みっつなら3位。それ以下は消灯)。こちらも覚えておいて欲しい項目だ。

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