WECの楽しみ方

2018年、2019年とTOYOTA GAZOO RACINGがル・マン24時間の連覇を成し遂げたほか、2018-19シーズンは中嶋一貴/フェルナンド・アロンソ/セバスチャン・ブエミ組がワールドチャンピオンを獲得。世界のトップに立ったWEC世界耐久選手権。いったいどんなレースで、そしてどんなマシンが戦うレースなのだろうか。生中継を見る前に、簡単ではあるがおさらいしておこう。

1923年に始まったル・マン24時間耐久レースは、世界三大レースのひとつであり、耐久レースの頂点。そしてこのレースの規定がWEC世界耐久選手権の大元だ。もともとヨーロッパでは、修学旅行のように若者がヨーロッパ大陸を旅行する『グランドツアラー』という文化があった。古くは馬車が使われていたが、自動車の登場とともに高速で長距離を移動できるスポーツカー(グランドツアラー、グランツーリスモ等さまざまな呼び方があるが、略して『GT』)が生まれ、長距離を安全に、かつ速く走れる車両を比べるという意味で、ル・マンは高性能スポーツカーが覇を競うレースとなった。

そのため、ル・マン24時間を戦うことができるのは、『二座席のスポーツカー』というのが基本。レギュレーションの狭間で一座席のレーシングカーが戦ったこともあるが、かなり例外的だ。そしてル・マンのもうひとつの側面として、レースに勝つために革新的な技術が磨かれてきた場所というものがある。市販車ではない純粋なレーシングカーで、新技術を取り入れていたものを『プロトタイプカー』と呼ぶようになった。

そんなル・マン24時間を戦うことができる規定に則ったレーシングカーで争われる世界選手権が、2012年にル・マン24時間の主催者のACOフランス西部自動車クラブと、FIA国際自動車連盟により復活したWECだ。2018年は春に開幕し、2019年のル・マンを最終戦とする“スーパーシーズン”として争われ、2019-20シーズンからは初秋に開幕、2020年ル・マンで閉幕するスタイルが採られている。

プロフェッショナルのためのプロトタイプ=LMP1

ル・マンではこれまで長い歴史のなかでさまざまな規定の紆余曲折があったが、現代のル・マン、そしてル・マンを中心とするWEC世界耐久選手権の車両規定は、これらの考え方が基本となり、プロトタイプとGTというふたつのカテゴリーから成っている。そして、ル・マンをこれまで盛り上げ続けてきたメーカー、プライベーター、プロドライバー、アマチュアドライバーたちがそれぞれレースに参加できるように、プロトタイプとGTをそれぞれふたつに分けているのだ。

まず、TOYOTA GAZOO RACINGが参戦するLMP1は、自動車メーカーとプロフェッショナルチームのためのカテゴリー。TOYOTA GAZOO RACINGは、自らの技術を活かしたトヨタTS050ハイブリッドで参戦している。ライバルとしては2017年まではポルシェが参戦していたが、撤退したためハイブリッド非搭載の車両がライバルとなっている。

主催者はハイブリッド搭載のTOYOTA GAZOO RACINGとそれ以外の戦力差を埋めようと努力しているが、そもそも日本の技術の粋を集めて作られたトヨタTS050 HYBRIDのパフォーマンスになかなかライバルは届いていない。今季はプライベーターがどれほどTOYOTA GAZOO RACINGに迫れるかが注目だろう。

そして、2019-20シーズンはLMP1のラストイヤーとなる。2020-21シーズンからは、超ハイパフォーマンスロードカー等を対象にした『ハイパーカー』という規定が導入されるためだ。このカテゴリーには、TOYOTA GAZOO RACINGとアストンマーティンが参入を表明している。

プロトタイプカーのうち、もうひとつのカテゴリーはLMP2。基本的には、『LMP1を目指すプライベーターとアマチュアのためのカテゴリー』とされており、2017年からオレカ、ライリー、ダラーラ、リジェという4メーカーのシャシーと、ギブソンGK428というエンジンを組み合わせたマシンのみが参加できる。例外的にアルピーヌが参加しているが、名前のみでシャシーはオレカだ。

プロドライバーとアマチュアが組んで戦うのが特徴で、近年WECのレーシングドライバーはプラチナ、ゴールド、シルバー、ブロンズという4カテゴリーに分けられており、LMP2では必ず1名はアマチュアにあたるシルバー、ブロンズのドライバーが含まれなければならない。

見逃せない“もうひとつの主役”GTE

そして、“もうひとつの主役”と言える市販車ベースのGTカーのカテゴリーがLM-GTEだ。近年SUPER GT300クラスをはじめ世界中のレースで活用されているGT3カーとパフォーマンスが近くなっていたが、ル・マン24時間を主催するACOはGT3とLM-GTEの違いを明確にするために、2016年から新規定を導入した。

これに合わせ、それまでシリーズを支えていたポルシェやフェラーリ、アストンマーティンに加えフォードやBMWが参入したが、2018-19シーズン限りで撤退。今季はポルシェ、フェラーリ、アストンマーティンの3メーカーのマシンの争いとなる。

そんなLM-GTEクラスだが、こちらもドライバーの組み合わせによって『LM-GTE Pro』と『LM-GTE Am』が存在する。Proの方は最新のマシンで参戦できるが、Amは1年落ち以上のマシンでの参戦となる。

WECの魅力は、その多種多様な車種、そして特にLMP2やLM-GTEでは、拮抗した戦力差による耐久レースとは思えないほどの戦いの激しさにある。各クラスで戦いが展開されるため、テレビ中継も画面の切り替わりが多い。また、2020-21シーズンに向けた過渡期のシーズンとあり、コース上以外でもさまざまなトピックスがありそうだ。

ちなみに、テレビでWECのレースを見る方に便利なのは、ゼッケンの色だ。LMP1=レッド、LMP2=ブルー、LM-GTE Pro=グリーン、LM-GTE Am=オレンジと覚えておこう。それだけでどのクラスか一目瞭然だ。また、マシン側面についているみっつのライトがそれぞれのクラスでの順位を示す(ひとつなら1位、ふたつなら2位、みっつなら3位。それ以下は消灯)。こちらも覚えておいて欲しい項目だ。

©トヨタ自動車,©Porsche,©TOYOTA GAZOO Racing,©Photo Copyright 2019 Joao Filipe / AdrenalMedia.com

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