ツール・ド・フランス2023

STAGE 17

第17ステージ

サン・ジェルヴェ・モン・ブラン>クールシュヴェル

165.7 km
7月19日(水)午後6:55 - 深夜1:40
/ J SPORTS 4J SPORTSオンデマンド
【現地実況・解説版】ステージ全編 午後7:10 - 深夜2:40 / J SPORTSオンデマンド限定
恐ろしきクイーンステージは獲得標高5000m超え

コースの特徴

第17ステージコースマップ

恐ろしきクイーンステージ。巨大峠をひたすら上り下りするうちに、獲得標高差は5000mを超える。最高標高は2300mを突き抜けるし、最大勾配は24%に達する。逆転マイヨ・ジョーヌを狙う野心家にとっては、今大会最大のチャンス。これを逃したら、もはや逆転可能なステージは1つしか残っていない。

今大会の謳い文句は「史上最も山の多い」ツールであり、また「過去と現在、未来が出会う」大会でもある。ピレネーの伝統峠トゥルマレ、中央山塊の復活ピュイ・ド・ドーム、この10年間ですっかり常連入りしたジュラのグラン・コロンビエ。そして、2020年に初めてツールに登場し、強烈な存在感を示したアルプスのコル・ド・ラ・ロズ……今区間の終わりにそびえる魔の山!

スプリンターたちにとっては試練の日。第15ステージのフィニッシュ地の麓から逆走する形で走り出し、17kmほど平坦な道を進んだら、あとはひたすら長い上りと長い下りの繰り返し。制限時間内に走り終えるために、早めに大きなグルペットを形成しておきたい。

山岳ポイント収集においては、極めて重要な1日となる。赤玉候補たちは序盤から積極果敢に逃げを打ち、1級峠×2と2級峠×1の山頂に向けて、熾烈なバトルを繰り広げるだろう。ただし今大会で唯一ポイントが「2倍」される超級ロズのてっぺんまで……今大会最高標高地点の2304mまで、果たして逃げ切れるだろうか。

なにしろロズの山道は28.1kmと、気が遠くなるほど長い。平均勾配こそ6%に過ぎないが、これは前半の約14kmが、勾配が3〜8%と安定しないだらだら坂のせいだ。またその後に3kmほど下りと平坦も挟まる。山頂まで11kmを切ると、いよいよ急勾配に突入する。それでも、まだ、平均勾配は8%弱に過ぎない。

ロズの恐ろしさが牙を向くのは、最後の5km。「自転車専用道路」として、2019年に舗装されたばかりの道は、ここから一気に勾配が10%前後に跳ね上がる。標高2000mを超えた直後には、24%の壁が立ちはだかるし、山頂直前には改めて、18%の激勾配が襲いかかる。

ただしミゲルアンヘル・ロペスがコロンビア人としての心肺機能を大いに見せつけ、タデイ・ポガチャルが少々苦しんだ3年前とは異なり、今年、勝負が決するのはロズの山頂ではない。そこからクールシュヴェルへと急降下し……クールシュヴェルの山岳飛行場へと降り立つ。栄光は537mの短い滑走路の先にある。国際飛行場としては世界一厳しい勾配18.66%を誇るそうだから、最後にもう1度、もがかねばならない!


MAP




Fumyのステージチェック

fumyのステージチェック

勝敗が白黒はっきりつくステージです。巨大な山ばかりで、あわせて5000mも上るし、最後の超級ロズ峠が恐ろしく厳しい。クイーンステージにふさわしい地形だと思います。

序盤2つの1級峠は有名峠だし、スケールも大きな上りだけれど、比較的無難にこなせます。山岳賞狙いの選手は飛び出していくでしょうけど、総合系チームは集団コントロールに徹しますね。ただ、ここでアシストを使い尽くすこともないと思います。最後がキツイことは分かってるし、前半からアシストたちを無理させるつもりはエースたちもないはず。ダメージを負わない程度に、上手く、制御していくのではないか。

ちなみにロズ峠で山岳ポイントが2倍になるとは言っても、ここを先頭で通過できるのは総合系だけじゃないですか。昔のマルコ・パンターニやリシャール・ヴィランクのような山岳の超スペシャリストが、近ごろは見当たらない。もしかしてイネオス・グレナディアーズのようなチームが総合を諦めて、山岳争いのみに集中すれば、悠々とマイヨ・ア・ポワを獲得できるとは思います。ただ、そうではない場合は、やはりマイヨ・ジョーヌがマイヨ・ア・ポワも同時に獲得してしまう展開が濃厚です。

で、この最後の超級ロズで、大きなバトルが繰り広げられる。しかも本格的な勝負が始まるのは、標高1420m地点の、メリベルから。ここは距離も長いし、勾配も厳しいし、標高も高い。南米クライマーはいい走りを見せるでしょう。不調の場合は、とてつもなく大きくタイムを失うんじゃないか。

しかもフィニッシュ手前にも激勾配が待ってます。この時点で、脚のない選手はとっくに遅れてます。ただ問題は、ロズから単独で下りに入ってフィニッシュまで行くのか、それとも最後までもつれて凄まじいスプリントが見られるのか。僕の予想では、例の2人でスプリントかな。

タデイ・ポガチャル選手は標高が高いところが苦手らしいので、もしかしたら守りに入る?いやいや、やっぱり一気にカクッと上がる勾配24%ゾーンで、失速覚悟で仕掛けるんじゃないでしょうか。もしもスプリントにもつれ込んだ場合は、やっぱりポガチャル選手が有利なんじゃないかと思いますけどね。

解説:別府史之 / 文:宮本あさか

Difference in height
高低差図
高低差図
Detail
詳細
山岳詳細
Time schedule
タイムスケジュール
距離 ポイント 現地時間 日本時間
36 km/h 34 km/h 32 km/h 36 km/h 34 km/h 32 km/h
0 km地点 スタート地点 12:30 12:30 12:30 19:30 19:30 19:30
28.4 km地点 1級山岳 13:20 13:24 13:28 20:20 20:24 20:28
46.0 km地点 中間SP 13:37 13:41 13:45 20:37 20:41 20:45
66.7 km地点 1級山岳 14:27 14:36 14:46 21:27 21:36 21:46
105.7 km地点 2級山岳 15:11 15:21 15:33 22:11 22:21 22:33
159.1 km地点 超級山岳
ボーナスポイント
16:56 17:16 17:38 23:56 00:16 00:38
165.7 km地点 ゴール地点 17:03 17:22 17:45 00:03 00:22 00:45

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