コースの特徴
第9ステージの終わりから滞在してきた中央山塊に別れを告げて、平らな大地へ。4ステージぶりに、ピュアスプリンターたちに出番が巡ってくる。絶対に失敗はしたくない。なにしろこのチャンスを逃すと、第18ステージまで、全力スプリントの機会は訪れない。
約10日後には、ツール・ド・フランス・ファムの開幕地として女子プロトンを迎え入れるクレルモン・フェランから、向かうは初登場の地ムーラン。アリエ県にツールが足を止めるのは実に10年ぶりであり、なによりツールにとっては、これにて晴れてフランス本土の「県庁所在地」全96都市コンプリートなんだとか!
ステージ前半はいまだ山の影がちらつく。ただし100km前後でジュリアン・アラフィリップが少年時代を過ごしたモンリュソンを駆け抜け、フィニッシュ手前61kmでこの日3つ目の4級峠を終えると、もはや地形的な難関は存在しない。
ムーラン(一般的には風車を想像させる)という地名に、一抹の不安もよぎる。幸いにも地名の由来は、かつてアリエ川で使われていた「水車」を使って進む外輪船とのこと。もちろん決して風の吹かない地域ではない。ただステージ終盤の東へと向かう一本道では、農地を囲むように並ぶ木立が、日々の生活においては風を遮る役目を果たしている。
2019年パリ〜ニース第3ステージでは大集団フィニッシュを受け入れ、サム・ベネットの勝利を見届けたムーランだが、フィナーレのコースは4年前の春とは完全に異なる。この日は残り2.5kmで、アリエ川にかかるレジュモルト橋を渡る。さらには立て続けに3つのコーナーをこなしたら、ラスト約1.3kmはほぼストレート。通常は小さな障害物がいたるところに点在し、フィニッシュライン上にさえ中央分離帯が存在するが、初めてのツール当日に向けて、大集団の全力疾走が可能なコースに早変わりする予定だ。
Fumyのステージチェック
逃げが決まる可能性もあるけれど、妥当に集団スプリントで終わるんじゃないかな。起伏はそこまで厳しくないし、道もそこまでテクニカルでもない。ラストが900mの直線だから、またしてもピュアスプリンターたちの争いですね。直線が長いと、やはり強い列車を持っているパワー系のピュアスプリンターが有利になります。
総合を争う選手たちにとっては休憩ステージ。ほっとできる1日なんじゃないでしょうか。前日はかなり起伏が多かったし、休息日明けだったので、疲労も感じるステージだったと思うけど、このステージはようやくのんびりリラックスして走れそうですね。もちろん「嵐の前の静けさ」じゃないけど、この先の戦いに向けて、しっかり体力を温存しておきたいはずですし。
ただ、強風が吹いたら、状況は変わるかもしれない。たしかにコース沿いに並木はあるけど、地図でチェックして見た感じ、森ではないし、高さも足りない。しかもコース横に川が流れているとなると……風は吹きやすいのかなと。とにかく同じ方角に延々と進むコースでは、風は常に気にするべきです。もしも北風が吹いたら、コース前半は延々向かい風になりますが、後半は分断の動きが生まれるかもしれない。特に北西の風だったら危ない。だって追い風が一番やばい。
こういう一見イージーそうなステージほど、気を抜くと、分断が起こったりするんですよ。当たり前だけど、警戒は切らさぬべきです。レミ・カヴァニャ選手やジュリアン・アラフィリップ選手が知り尽くしている地域なので……スーダル・クイックステップが動いてくる危険性も大ありです。
解説:別府史之 / 文:宮本あさか
距離 | ポイント | 現地時間 | 日本時間 | ||||
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46 km/h | 44 km/h | 42 km/h | 46 km/h | 44 km/h | 42 km/h | ||
0 km地点 | スタート地点 | 13:25 | 13:25 | 13:25 | 20:25 | 20:25 | 20:25 |
31.8 km地点 | 4級山岳 | 14:06 | 14:08 | 14:10 | 21:06 | 21:08 | 21:10 |
49.5 km地点 | 4級山岳 | 14:29 | 14:32 | 14:36 | 21:29 | 21:32 | 21:36 |
70.5 km地点 | 中間SP | 14:57 | 15:01 | 15:06 | 21:57 | 22:01 | 22:06 |
118.5 km地点 | 4級山岳 | 15:59 | 16:06 | 16:14 | 22:59 | 23:06 | 23:14 |
178.8 km地点 | ゴール地点 | 17:19 | 17:30 | 17:42 | 00:19 | 00:30 | 00:42 |