コースの特徴
ピレネーをわずか2日で抜け出して、プロトンは北を目指す。次なる山脈マシフ・サントラル(中央山塊)へと向かう「移動ステージ」であり、ピュアスプリンターたちにとっては、大会1週目のラストチャンスとなるかもしれない。
今からちょうど50年前にツール総合優勝を果たしたスペイン人ルイス・オカニャが、12歳から暮らしていたモン・ド・マルサンから、ステージは走り出す。西欧最大級「ランドの森」を迂回するように引かれたコースは、史上最も山の多いツールの中でも、最もフラットなステージ。残り38.9km地点に小さな4級ベゲ坂(登坂距離1.2km、平均勾配4.4%)が組み込まれた以外、特筆すべき地形的難所は存在しない。
ランドの森に守られて、風の影響もそれほどはなさそうだ。もちろん長い直線と、いくつかの方向転換で組み立てられたコースだけに、注意を怠ってはならない。しかもステージ前半は、真冬の強風地帯として有名だし、昨7月は、風が、ボルドー近郊の大規模森林火災を長引かせたことも忘れてはならない。
過去82回目もツールのプロトンを受け入れてきた伝統開催地ボルドーが、ステージフィニッシュを見届けるのはなんと13年ぶり。その2010年大会で自身にとって区間14勝目を手にしたのがマーク・カヴェンディッシュで、当時と同じカンコンス広場の眼の前に、フィニッシュラインは引かれる。
ガロンヌ川にかかるサン・ジャン橋を渡り、右折したら、残す2kmはひたすら一直線のど平坦。もちろん川のラインに沿って緩やかな蛇行はあるし、立体交差点を潜る場面もあるものの、特にラスト1kmは、スプリント隊列を乱す障害物は一切存在しない。
Fumyのステージチェック
ど平坦で、いわゆる休息日ですね。山岳ポイントも1つしかないので、大きな逃げが決まる理由もないし、比較的のんびりした1日になると思います。ただ前日が出力の高いステージだったし、しかも暑い地域なので、かなり疲労は残っているはずです。簡単なコースではありますが、もしかしたら、スプリンターの中には調子を崩して勝負に絡めない選手がいるかもしれません。
ラストは直線が長いので、しっかりと機能するトレインを持つピュアスプリンターが断然有利です。つまりファビオ・ヤコブセン選手、ヤスペル・フィリプセン選手、ディラン・フルーネウェーヘン選手、カレブ・ユアン選手のようなタイプ。白熱したパワースプリントが繰り広げられると思います。
たしかにボルドーで最後に勝ったのはマーク・カヴェンディッシュ選手ですが、当時はHTC所属でしたよね。つまり最強メンバーによる、最強トレインに引かれての勝利でしたから、今年とは状況が違う。思い出の地ではありますが、そう簡単には有利な展開に持ち込めないんじゃないかな。
ただ、どこのステージもそうなんですけど、特に山の直後だけに、ダークホース的な選手にも注目したいです。例えばビニヤム・ギルマイ選手がどこまで伸びのあるスプリントを見せてくれるのか、期待したいところではあります。まあ、あとは、ワウト・ファンアールト選手とクリストフ・ラポルト選手が、どう動くのかによりますね。普通にスプリントすれば勝てる選手です。だから彼ら2人が100%ヨナス・ヴィンゲゴー選手のサポート役に徹するのか、それとも自分たちのチャンスも狙うのかによって、スプリント全体の流れも変わりますよ。
解説:別府史之 / 文:宮本あさか
距離 | ポイント | 現地時間 | 日本時間 | ||||
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47 km/h | 45 km/h | 43 km/h | 47 km/h | 45 km/h | 43 km/h | ||
0 km地点 | スタート地点 | 13:30 | 13:30 | 13:30 | 20:30 | 20:30 | 20:30 |
88.0 km地点 | 中間SP | 15:22 | 15:27 | 15:33 | 22:22 | 22:27 | 22:33 |
131.0 km地点 | 4級山岳 | 16:17 | 16:25 | 16:33 | 23:17 | 23:25 | 23:33 |
169.9 km地点 | ゴール地点 | 17:07 | 17:17 | 17:27 | 00:07 | 00:17 | 00:27 |