コースの特徴
区間22勝、マイヨ・ヴェール2回を誇る「ランド県のグレイハウンド」ことアンドレ・ダリガドの故郷からスタートするステージは、当然、ピュアスプリンターのために描かれた。幸いにも94歳の名スプリンターは今なおご健在。その功績を称える銅像の前を、パレードラン区間で通過してから、プロトンは本気の勝負へと走り出す。
さらにステージ半ばの中間スプリントでは、自転車乗りたちの安全を祈るノートル・ダム・デ・シクリスト教会の前を駆け抜ける。コース上に平地巧者を怖がらせるような起伏は存在しない。等級のつけられた山岳は、フィニッシュ手前27km地点の4級デミュ坂(登坂距離2km・平均勾配3.5%)のみ。
むしろ東に進路を取りつつ……ステージ後半に3度の大胆な方向転換が待ち受けるからこそ、どうやら風の影響のほうを心配すべきらしい。この一帯は特に強風で知られてはいないものの、南東から北西へと吹き抜ける地方風オータンの通り道から、それほど遠くはない。
スプリントが争われるのは、フランス最古の常設サーキット、正式名称シルキュイ・ポール・アルマニャックのコースの上。ラスト約3km地点で、メインストレート側からに入ると、通常とは逆周りで「湖のS字」→「クロード・ストレスコーナー」→「アンリ・オレイエコーナー」→「ロジェ・デュボワコーナー」→「学校のヘアピン」を次々とこなす。ついには900mの長さを誇るバックストレートで、スピード全開へ!
ちなみに70年代から80年代にかけて、ツールはディジョンのプルノワサーキットで数度のタイムトライアルを争ったが、ノガロ・サーキットを走るのは初体験。一方ノガロ・サーキットは過去2回、自転車レースを迎え入れてきた。記念すべき1回目は1974年のクリテリウム・デ・アスで、勝者はエディ・メルクスだった。2回目は2017年のルート・ド・シュド(現ルート・ドキシタニー)で、30秒差でサーキットに突入した逃げ集団の中から、現在EF所属のトム・スクーリーがギリギリタイム差ゼロの逃げ切り勝利をもぎ取っている。
Fumyのステージチェック
絶好調の選手が、2日連続でスプリント勝利を手にするかもしれません。前日の失敗を反省し、修正して臨んだスプリンターが勝つ可能性もあります。でも僕の意見では、前日とは違うタイプのスプリンターにも勝機が巡ってきます。自動車サーキットでのフィニッシュなので、町中のフィニッシュとは、少し勝手が異なるんです。
前日の第3ステージは、戦略的なスプリントでした。チーム単位で動いて、位置取りをきっちりしなければ、勝負に絡むのは難しかったはずです。一方でこの第4ステージは、個々のテクニックで勝ちにいくような、そんなスプリントになると思います。
自動車サーキットは道幅が広いので、ポジション取りは比較的イージーなんですよ。もちろんどのチームもトレインを走らせるでしょうが、1つか2つのチームが主導権をがっちりつかむようなパターンにはならないはず。そうすると列車力は弱いけど、個としての技術に優れる選手も、他チームの隊列をうまく利用できちゃう。列車を次々と乗り換えて、ピュアスプリンターの背後に入る、みたいな戦法が可能になる。
最後は「モンキースプリント」、いわゆる「わちゃわちゃしたスプリント」になるんじゃないかな。こうなったら頼れるのはもはや個の力だけです。しかも横一戦でもがき、みんなが力尽カヴェンディッシュ選手じゃないでしょうか。ペーター・サガン選手も、調子さえ良ければ、ありかもしれないですね。光る熟練の技を見せてほしいものです。
解説:別府史之 / 文:宮本あさか
距離 | ポイント | 現地時間 | 日本時間 | ||||
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47 km/h | 45 km/h | 43 km/h | 47 km/h | 45 km/h | 43 km/h | ||
0 km地点 | スタート地点 | 13:20 | 13:20 | 13:20 | 20:20 | 20:20 | 20:20 |
93.6 km地点 | 中間SP | 15:19 | 15:25 | 15:31 | 22:19 | 22:25 | 22:31 |
154.4 km地点 | 4級山岳 | 16:37 | 16:46 | 16:55 | 23:37 | 23:46 | 23:55 |
181.8 km地点 | ゴール地点 | 17:12 | 17:22 | 17:34 | 00:12 | 00:22 | 00:34 |