ツール・ド・フランスを知るための100の入り口

ツール・ド・フランスを知るための100の入り口:チームタイムトライアルの悲喜こもごも



チームタイムトライアル(TTT)では、選手同士の連携プレーがカギとなるため、そこはかとなく、団体競技の要素にあふれ、箱根駅伝よろしく悲喜こもごものドラマが生み出されてきた。「足を引っ張ってしまった選手」の涙、「引っ張られた選手」の怒り、「ひとり自滅した選手」のやるせない嘆き、など。

2004年、TTTで完全に千切れ、13分も遅れてゴールしたベンハミン・ノバルの姿は痛々しかった。その日チームは優勝し、彼の遅れの影響は最小限だったものの、晴れがましい表情のメンバーに囲まれ、しょんぼりと涙を見せた。

1994年、クリス・ボードマンの逆上ぶりも有名だ。なにしろ初日プロローグで優勝し、マイヨ・ジョーヌを着用したのに、第3ステージTTTで、所属するチーム「ガン」がボロボロ。栄光の座から転落したのだった。

不可解なドラマは1991年。ステファン・ロッシュが所属するトントン タピチームは、彼を取り残してスタートしてしまった。出走時間を10分間違えていた上、お腹の調子が悪くトイレの中で、アナウンスも聞こえなかった。結果、制限時間を大幅に超え、失格(タイムアウト)となる。

しかし、この一件はその後、憶測を呼んだ。その頃ロッシュと確執があった監督が、わざと遅い時間を知らせて足を引っ張った、などと言われた。このウワサ、両者とも否定して、ことは収まったのだが。

このように、いざこざのタネになりやすかったTTTだが、最近では、それほど物議をかもすこともなくなった。それもそのハズ。2005年まで60㎞程度だった距離が、2011年にはわずか23㎞。トップと最下位チームのタイム差は1分22秒で、ダメージは最低限になった。

1990年代は、実測時間は区間タイムとして記録されるものの、タイム差には上限が決められていた。たとえば67㎞を走った1995年の場合、どんなに差がついても、チームから千切れずに走り切れば、総合成績に関しては、トップチームのタイムより5分以上の加算はなかった。とはいえ、同僚に足をひっぱられた実力者にとっては手痛い数字。

そこで2000年前半は、1位チームと2位チームの差がどれだけ開いても、最高20秒以上は総合成績に反映されない仕組みとなる。以下、3位チームの場合は30秒、4位チームの場合は40秒といった具合。ただ、なんとなく消化不良の感は否めない。そこで最近では、成果をそのまま反映しつつ、距離を短縮する形式に変更になったのだ。かくしてTTT後のフラストレーションは、かなり軽減された。と同時に、罵声飛び交う熱いドラマも激減した次第。

※本企画は2013年6月に実施されたものです。現在と情報が異なる場合がございますが、予めご了承ください。

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