この夏も沸きに沸いた、ツール・ド・フランス。世界最大の自転車ロードレースにふさわしい熱戦が繰り広げられ、われわれに限らず、世界中のファンがそのドラマに一喜一憂した。
夏の思い出は、色褪せない。「ツール・ド・フランス さいたまクリテリウム」は、ツールを沸かせたスーパースターたちがさいたま新都心の市街地コースを駆け抜けるスペシャルイベント。あの夏に見たシーンが、日本で再現される。
今年で11回目の開催となり、その年のツールで活躍した選手たちが秋に来日するのは今では恒例行事に。日本のロードレースファンが世界とともに育み、決して欠かすことのできないイベントになった。
さらに言うなら、このクリテリウムが「ツール・ド・フランスの歴史」を変えるきっかけにもなった。「ツール・ド・フランスの名を冠した大会」としては世界初のイベントであり、それもツール100回記念大会の年に生まれている。本場ヨーロッパで築かれているロードレースのエッセンスがそのまま日本に持ち込まれ、日本にいながらにして本場の興奮と感動を味わえるのである。
その証拠に、大会を運営するスタッフやメディアも本番同様で、コース内外での演出やバリケードもツールで実際に使われているものが採用される。実際のツールと違うのは、コース周囲の景色くらいか。さいたま新都心の高層ビル群は、ツールの伝統と格式に大いなるアクセントをもたらしている。
■ヴィンゲゴーが3年ぶり来日 4人のステージ優勝者もさいたまへ
夢のような1日を彩る選手たちも豪華絢爛! 今年のツール本番を個人総合2位で終えたヨナス・ヴィンゲゴー(チーム ヴィスマ・リースアバイク)を筆頭に、ベテランらしい走りがツールでも光ったプリモシュ・ログリッチ(レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ)、ポイント賞「マイヨ・ヴェール」を獲得し名実ともにプロトンのナンバーワンスプリンターとなったジョナタン・ミラン(リドル・ドレック)らの参戦が決定している。
ツールの舞台に立ったチームのうち、本記執筆段階で6チームの出場が決定。UAEチームエミレーツ・XRGは第15ステージで勝ったティム・ウェレンス、ウノエックス・モビリティは第11ステージで勝ったヨナス・アブラハムセン、アルペシン・ドゥクーニンクは第20ステージで劇的勝利を挙げたカーデン・グローブスと、ステージ優勝者をそれぞれ送り込む。特別編成のチーム フランスも、第16ステージを制したヴァランタン・パレパントルがメンバー入りしている。
また、ホスト役となる日本勢は8チームがエントリー。チーム ブリヂストンサイクリング、マトリックスパワータグ、Astemo宇都宮ブリッツェン、キナンレーシングチーム、VC福岡、ヴィクトワール広島、愛三工業レーシングチームに加えて、埼玉県出身の金子宗平らを含むスペシャルチームジャパン for さいたまがスタートラインにつく。
■2競技でさいたまの王者を決める
主役たちが当日競うのは、「チームタイムトライアルレース」と「クリテリウムメインレース」の2競技。チームタイムトライアルレースは各チーム最大3選手で編成され、3.1kmのコースを走行。各チーム2番手の選手のフィニッシュ通過タイムが有効になる。
イベントの華であるクリテリウムメインレースは、1周約3.5kmのコースを17周回し、一番にフィニッシュラインを通過した選手が優勝。ひと目で誰が勝ったが分かる、ロードレースの本質が詰まった一戦である。レース途中、2・6・10・14周目のフィニッシュライン通過時に中間スプリントポイントが設けられるほか、4・8・12・16周目には山岳ポイントが設定。ツール本番同様にポイント賞や山岳賞、新人賞(2000年1月1日以降生まれの選手対象)が用意されるほか、敢闘賞やチーム賞、日本人チーム賞も贈られる。
これらとは別に、日本の女子・男子ジュニア・パラサイクリング・秩父宮杯埼玉県自転車道路競走大会優勝者による個人タイムトライアルレースも催される。
レースの盛り上がりを後押しするべく、オフィシャルサポーター向けの大感謝祭(有料)や、メインアリーナ周辺でのキッズクリテや一般体験走行など、楽しめるコンテンツが盛りだくさん。11月9日はさいたまが世界の自転車ロードレースの中心地に。その一員として、現地で、ライブで、決定的瞬間を目の当たりにしよう!
文:福光 俊介







