ツール・ド・フランス前の脚試しの機会として確たる地位を築いてきた「クリテリウム・デュ・ドーフィネ」が、2026年より「ツール・オーヴェルニュ・ローヌ・アルプ」と大会名称を変更。とはいっても、ツール前哨戦としての立ち位置は揺らぐことはなく、何なら2026年大会は1カ月後の本番を見越した若いオールラウンダーたちがチャレンジの場に選んでいる。
■開催地オーヴェルニュ=ローヌ=アルプ地方が運営に参画
1947年に初開催、当時は新聞社ドーフィネ・リベレの発行部数増加を目指し、社名をそのまま大会名に。やがて大会運営体制が変わり、ツールを主催するA.S.O.(アモリ・スポル・オルガニザシオン)が全権を引き継いだ2010年にクリテリウム・デュ・ドーフィネの名へ。
サイクルロードレースファンにとっては“ドーフィネ”の名で親しまれてきたこの大会だが、2026年大会から新たなフェーズへと移る。A.S.O.がレース開催地のオーヴェルニュ=ローヌ=アルプ地方と提携。これを機に、新たな大会名として「ツール・オーヴェルニュ・ローヌ・アルプ」と呼ばれることになった。
■山岳比重の高い8日間、チームTTの採用も
大会名が変われど、レースイベントとしての趣きは変わらない。開催回数も引き継がれ、今回は第78回大会となる。全8ステージで、同地の地形を生かした山岳ルートが選手たちの脚を試していく。
今年も第1ステージ(146.2km)からサバイバル化しそうだ。5つのカテゴリー山岳を越え、フィニッシュへ向かっても上り基調。開幕早々、メイン集団の人数は相応に絞られていることだろう。一方で、第2ステージ(234.3km)は丘陵コースにカテゴライズされるが、スプリンター系の選手たちにもチャンスがあるのではないかとの現地評。中盤の2級山岳コル・ロベール・マルシャンは登坂距離10.9km。平均4.4%の上りを耐えられるかがひとつポイントになってくる。
今大会の大注目は第3ステージ。28.4kmのチームタイムトライアルだ。ツールでも実施されるとあり、今回はどのチームも最終テスト的な位置づけて臨むことだろう。本番へ向け、最新装備やキットを試す選手やチームも見られそう。なお、今回はツール本番より10km近く距離が長くなっている。
大会中盤戦は丘陵地帯を走行。レース半ばまでに5つのカテゴリー山岳をクリアする第4ステージ(167.4km)、中間地点以降はほぼフラットの第5ステージ(195.8km)は、逃げと集団との駆け引きが見られそう。
終盤3ステージは、いずれも上級山岳頂上フィニッシュ。第6ステージ(182.3km)は1級山岳クレスト・ヴォラン(登坂距離5.9km、平均勾配7.7%)、第7ステージは(133.6km)は超級山岳グラン・コロンビエ(8.4km、10.2%)、第8ステージ(120km)は超級山岳プラトー・ド・ソレゾン(11.3km、9.1%)と、それぞれ大勝負が見られることだろう。今大会の個人総合成績に反映されることは間違いなく、もっともツール本番へ、状態の良い選手を測る絶好の場となるはず。
例年と比較しても山岳比重が高い印象の8日間。チームタイムトライアルの採用も含め、個の力だけでなくチームとしていかに戦い抜くかが重要になってきそうだ。
■フランス国民の期待を背負うセクサス デルトロやアユソ、オンリーも頂点狙う
過去にはツールのマイヨ・ジョーヌ候補がこぞってこの大会に集まったこともあるが、今回は違ったムードになりそうだ。次世代を担う若いオールラウンダーが続々と出場意志を示しているのである。
開催地フランスの期待を一心に背負うのは、19歳のポール・セクサス(デカトロン・CMA CGM チーム)。日頃からレースを追っている方なら、彼の飛躍ぶりは手に取るように分かるだろう。
文:福光 俊介 ©A.S.O.




