ジロ・デ・イタリア2025

スプリンターにとっては1週間ぶりに輝けるステージ。マリア・チクラミーノ争奪戦を有利に進め、山だらけのジロ後半戦をモチベーション高く走り続けるためにも、貴重な勝機を絶対に逃したくはない。

ステージ最初の100kmは、軽いアップダウンを繰り返す。美食の街モデナを走り出すと、フェラーリ本社のある隣町マラネッロを経由し、レッジャーノ丘陵地帯へ。細かくうねる道を進みながら、小さな3級山岳も2つ越える。そして2つ目の3級山岳を終えたら、残す70kmは、ほぼ完全にフラット。スプリンターチームは、秩序正しく、フィニッシュ地ヴィアダナを目指すことができそうだ。

残り26.6kmでフィニッシュラインを一旦越えたら、北部をぐるりと一周回。今ステージは「オリオ・ポー」と銘打たれている通り、ポー川とその支流オーリオ川に挟まれた一帯に大きくスポットライトを当てる機会でもある。だからこそユネスコ世界遺産に登録されたルネサンスの理想郷サッビオネータや、古くから「都市」の称号を得ていたカザルマッジョーレの一部を通過し、最後に改めてヴィアダナへ帰ってくる。ちなみにジロ到着のほんの10日ほど前に、ヴィアダナではランブルスコ祭りが開催されたとのこと。この一帯は、マリア・チクラミーノの色にもよく似た、弱発泡性赤ワインの一大産地でもある。

周回内にはいくつかのカーブも待ち受けているが、全体的に大通りと直線が多く、特にラスト3kmからはほぼ真っ直ぐ。スピードは否が応でも上がるだろう。ただフィニッシュ手前500mに、びっくりするほど鋭角のコーナーあり。やはりジロには、単純なステージなど、存在しないのだ。

text：宮本あさか