ジロ・デ・イタリア2025

油断できないアップダウンステージ。上りの強さはもちろん、ハンドルさばきや勝負センスも求められる。もしも少人数の争いに持ち込まれたら、手に汗握るフィナーレが見られそうだ。

3週間の戦いも折り返し地点。ティレーノ〜アドリアティコの定番スタート地リド・ディ・カマイオーレから、ほんの5kmほど南の海浜浴場ヴィアレッジョが、3年連続でステージ地に選ばれた。ただ昨年は南東へと進路を取ったが、今年は北へ。ジロ一行は再びアペニン山脈へと分け入る。

コース中央にそびえ立つ1級アルペ・サン・ペッリグリーノは、実に25年ぶりの登場で、間違いなく今大会屈指の難峠。登坂距離は13.7km、平均勾配は8.8％。しかも麓の4kmは延々9.5％前後と険しく、最終盤には3kmにわたって12％超・最大19％の激勾配ゾーンあり。山の向こうでは、40km近いダウンヒルも待っている。

その後も起伏は繰り返し襲いかかる。2級山岳をこなし、「レッドブル・ポイント」も上って下りて。そして残り11.5kmからは、2級ピエトラ・ディ・ビスマントヴァへと挑みかかる。全長5.8km、平均勾配5.8％、最大10％と、数字的にはそれほど衝撃的ではない。むしろ驚くべきはその風景だ。視線の先には、同名の巨大な岩──地質学的には高原──が突き立つ。

「到達困難」という意を持つこの岩山を越えたら、目的地カステルノーヴォ・ネ・モンティまでは残り4.9km。最後までローラーコースターは続く。テクニカルすぎる下りヘアピンに、フィニッシュまで終わらない上りに、極めつけはライン直前の90度コーナー！

text：宮本あさか