来歴


ポイントレース世界チャンピオンとして鳴り物入りでロードレースに転向した。プロになって5年後の2018年にブエルタ・ア・エスパーニャ総合優勝。「チームスカイ以外」の英国人によるグランツール制覇、さらにはイングランド生まれのイングランド人による総合優勝は、史上初めての偉業だった。


◆双子の弟アダムの存在


アマチュア時代は別々に走っていた。ただ英国代表チームで時おり見せる双子の連携は強大で、例えば2013年ツール・ド・ラヴニールではサイモン区間2勝・アダム総合2位と成果を分け合った。


プロ入りは同時で、2人ともオーストラリアのオリカ・グリーンエッジだった。とはいっても一緒に走る機会はそれほど多くなく、サイモンは同じチーム時代にグランツールに10回参戦したが、弟アダム同伴は4回のみ。それでも2018年ブエルタ・ア・エスパーニャでは、アダムの3週目の働きこそが、サイモンをグランツール初制覇へと導いた。


こうしてプロ生活を共に歩んできた双子だが、2021年にサイモンはチームバイクエクスチェンジに残留したものの、アダムは地元英国のイネオス・グレナディアーズに移籍した。


サイモン・イェーツ

◆ジロ・デ・イタリアへ忘れ物を取りに


13日間もマリア・ローザを守った果てに、閉幕3日前に首位転落し、総合21位に終わった2018年のジロ・デ・イタリアでの屈辱は忘れてはいない。


同年のブエルタ・ア・エスパーニャで念願のグランツール初制覇は叶ったが、「どうしても最高の調子であの場に戻り、再度トライしたい」と、ジロ・デ・イタリアへのこだわりは強かった。だが2022年まで連続で出場するも、未だに忘れ物は取り戻せずいる。


◆ツール・ド・フランスへ再参戦


5年連続で出場していたジロ・デ・イタリアはパスし、2023年は2年ぶりのツール・ド・フランスに出場した。


ブエルタ・ア・エスパーニャで念願のグランツール初優勝を達成して以来、落車や病気で途中棄権の悔しい思いも経験してきて、思うようにならないシーズンが続いたが、どうにもならないことをくよくよ考えていても仕方がないと、気持ちはすでに切り替えている。その結果ツール・ド・フランス個人総合4位という結果を得た。


ちなみに、2021年以降別々のチームで走っている双子のアダムとは、実はチームが別れてから同じグランツールで走ったことがない。そのためこのツール・ド・フランスは2人が別チームで出場する初めてのグランツールとなった。


2014年から所属するオーストラリアチームはチームジェイコ・アルウラーという名称に代わっているが、2025年はチーム ヴィスマ・リースアバイクに移籍。ジロ・デ・イタリアとツール・ド・フランスにどんな役割で参加するのか。注目してみたい。


サイモン・イェーツ

©A.S.O./Pauline BALLET   ©A.S.O./Billy Ceusters

戦績

レース・結果
2015年 クリテリウム・デュ・ドーフィネ総合5位&ヤングライダー賞
2016年 プルエバ・ビリャフランカ・デ・オルディシア優勝
2017年 パリ〜ニース区間優勝
GPミゲル・インドゥライン優勝
ツール・ド・ロマンディ総合2位
ツール・ド・フランス総合7位&ヤングライダー賞
2018年 パリ〜ニース総合2位
ツール・ド・ポローニュ総合2位
ボルタ・ア・カタルーニャ総合4位
ブエルタ・ア・エスパーニャ総合優勝&複合賞
2019年 ブエルタ・ア・アンダルシア山岳賞
パリ〜ニース区間優勝
2020年 ティレーノ〜アドリアティコ総合優勝
ツール・ド・ポローニュ総合3位
2021年 ツアー・オブ・ジ・アルプス総合優勝
ツアー・オブ・クロアチア総合4位
2022年 パリ〜ニース総合2位 ブエルタ・ア・カスティーリャ・イ・レオン総合優勝
ブエルタ・アストゥリアス ポイント賞
2023年 ツアー・ダウンアンダー総合2位&区間1勝
パリ〜ニース総合4位
イツリア・バスクカントリー総合9位
メモリアル・マルコ・パンターニ4位
ジロ・デル・エミリア3位
イル・ロンバルディア5位
ツール・ド・フランス個人総合4位
2024年 サントス・ツアー・ダウンアンダー総合7位
アルウラー・ツアー総合優勝&区間1勝