来歴


エクアドルの高地にある町出身のカラパスは、母国に初めてのグランツール総合優勝をもたらした。彼の母国では、サイクルロードレースはあまりポピュラーなスポーツではなく、彼が初めて達成する記録は、エクアドル初と同義。エクアドルの英雄は、もちろん「初」で打ち止めにするつもりはなく、自らの後輩の育成にも精を出す。


◆無名だった時代


無名だった影響か否か、2018年のジロ・デ・イタリアに出場した際、カラパスがみせた鋭いアタックに誰も反応しなかった。


おかげで区間勝利をさらい取り、名を上げることに成功。むしろ最終盤までロペスと繰り広げた執拗すぎるほどの表彰台&新人賞争いが、人々の印象に刻まれた。


そして迎えた2019年のジロでも、ほぼノーマークの存在から、一気に区間勝利をさらいとった。そこから総合順位をじわじわと上げ、2つ目の区間勝利と念願のマリア・ローザを手に入れる。


リチャル・カラパス

◆オリンピックでの栄光


2021年、ディフェンディングチャンピオンとしてジロ・デ・イタリア行きの予定だったのだが、急遽ツールへ招集され、しかもエースのカラパスは途中リタイアし、突如として自らの両肩に重圧がのしかかってきたが、きっちりと責任を果たした。


その直後のブエルタで総合2位を獲得するなど、着実にトップ選手としての道を歩む。


そして勢いそのままに、東京オリンピックで金メダルを獲得。これはエクアドル人自転車選手初の快挙だった。


2023年、オリンピックチャンピオンのエクアドル人は、3年間いたイネオス・グレナディアーズを離れ、アメリカチームと新たに3年契約を結んだ。


今度はキャノンデールのバイクに金色を纏わせる。2019年にジロ・デ・イタリアを勝って以来、グランツール表彰台の常連となり、毎年安定した成績を収め続けているカラパス。もう一度グランツール総合優勝の栄光へ走り続ける。


◆信頼失う大ピンチで起死回生の走り


EFエデュケーション・イージーポストでの1年目は結果が残せなかったが、2024年シーズンは奮起。チーム首脳陣からの信頼を失いかけた時期もあったが、ツール・ド・フランスでは序盤ステージでの積極策が実ってマイヨ・ジョーヌを着用。


1日で手放したが、大会後半に再び躍動。山岳で再三逃げを打って、ステージ1勝。最終的に山岳賞を獲得した。


目指していた五輪ロード連覇は代表落ちで叶わなかったが、その悔しさをブエルタ・ア・エスパーニャにぶつけ、個人総合4位。グランツールのチームリーダーとして十分な力があることを示した。


リチャル・カラパス

©PHOTOGOMEZSPORT2020   ©A.S.O./Charly Lopez

戦績

レース・結果
2014年 ブエルタ・アル・エクアドル総合2位
2015年 ブエルタ・ア・コロンビアU-23総合優勝
2016年 ブエルタ・ア・ナバーラ総合優勝
2017年 ルート・ドクシタニ総合優勝&ヤングライダー賞
グラン・プレミオ・インドゥストリア・エ・アルティジャナート2位
2018年 ブエルタ・ア・アストゥリアス総合優勝
2019年 ブエルタ・ア・アストゥリアス総合優勝&ポイント賞
ブエルタ・ア・ブルゴス総合3位
ジロ・デ・イタリア総合優勝
2020年 ツール・ド・ポローニュ区間優勝
ブエルタ・ア・ブルゴス総合6位
ブエルタ・ア・エスパーニャ総合2位
2021年 ツール・ド・スイス総合優勝
東京オリンピックロードレース金メダル
2022年 国内選手権個人タイムトライアル優勝&ロードレース2位
ボルタ・ア・カタルーニャ総合2位
ジロ・デ・イタリア総合2位
ブエルタ・ア・エスパーニャ山岳賞
2023年 国内選手権ロードレース優勝
メルカンツール・クラシック・アルプマリティム優勝
イル・ロンバルディア8位
2024年 ツール・ド・フランス区間優勝、山岳賞・総合敢闘賞
ツアー・コロンビア総合2位
ツール・ド・ロマンディ区間優勝
ブエルタ・ア・エスパーニャ総合4位