来歴
プロ入り直後から常にエース級のマシューズ。器用すぎるがゆえに、専門分野がないのも玉に瑕。あだ名は「ブリンブリン(英語でキラキラ)」。
◆どこでも走れる器用なエース
ワンデーレーサーとして世に名を知らしめたのは、U23世界選手権でマイヨ・アルカンシェルを手にしてから。平地から起伏まで、ルーベを除くあらゆるクラシックをこなせる稀有な脚を持つ。
スイスにロマンディ、バスクにパリ〜ニースとワールドツアー大会で幾度となく総合リーダージャージを身にまとった。もちろんジロ・デ・イタリアでマリア・ローザ8日間、ブエルタ・ア・エスパーニャではマイヨ・ロホ3日間を楽しんだ。
2017年のツール・ド・フランスではマイヨ・ヴェールを持ち帰り、2018年秋のカナダ2戦両制覇で、ついに念願のクラシックタイトルを獲得。
◆レースを楽しめず苦悩
2019年は向かい風。初戦に選んだ石畳ヘットニュースブラットは、軽い落車で12位。続く2戦目はパリ~ニース初日。今度は激しい落車で脳震盪に顔面骨折。「全てを完璧にこなそうと集中しすぎて、自分にストレスをかけてしまった」と語り、2020年は「楽しむ」ことにも努力。そしてついに、チームの「ナンバーワンエース」の重責を引き受けることとなった。
◆「ただのスプリンター」では終わらない!
30歳を契機に、地元オーストラリアの古巣に帰ったマシューズ。一日中アタックし続けて周囲を疲弊させ、それからスプリントに持ち込むのが本来の自分の走り方。狭い意味での「スプリンター」という役割にはもう戻りたくない、とチームに伝えた。
2022年最初の目標だったストラーデ・ビアンケでは、落車であごに15針縫うケガ。3位入賞2回で今度こそ、と思っていたミラノ〜サンレモでも調子が出なかった。カタルーニャの区間優勝で気を取り直したものの、直後に体調を崩し、春のクラシックが終了。
しかし、ツール・ド・フランス第14ステージで、逃げからアタックをかけ、最後の「ジャラベール山」での攻防の末、実に5年ぶりのツール区間優勝。「ただのスプリンターではないことをどうしても証明したかった」と胸を張った。
◆GPケベックで3度目の優勝 パリ五輪では金メダル候補にも
2024年も要所での上位進出が目立った。スプリントにももつれ込んだミラノ〜サンレモは殊勲の2位も「やり方次第では勝つことができた」と悔しがった。
その後はしばらく上位から遠かったが、夏以降に再浮上。パリ五輪ロードレースは15位に終わったものの、レース前には金メダル候補に上がったほど。得意のカナダでは、GPケベックで3度目の優勝。ポガチャルやギルマイに先着してのものだから、いつも以上に価値のある勝利になった。
©A.S.O./Pauline Ballet ©A.S.O./Billy Ceusters
戦績
年 | レース・結果 |
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2011年 | ルント・ウム・ケルン優勝 ツアー・ダウンアンダー総合4位 |
2012年 | ツアー・オブ・ユタ ポイント賞 |
2013年 | ツアー・オブ・ユタ ポイント賞 |
2014年 | ラ・リオハ一周優勝 イツリア・バスクカントリー区間優勝 ツアーオブ・スロベニア ポイント賞 ブラバンツ・ペイル2位 |
2015年 | パリ〜ニース ポイント賞 バスク一周 区間優勝 ブラバンツ・ペイル2位 アムステル・ゴールドレース3位 ツール・ド・スイス区間優勝 |
2016年 | パリ〜ニース ポイント賞 ラ・リオハ一周 優勝 |
2017年 | ツール・ド・フランスポイント賞 イツリア・バスクカントリー区間優勝 ツール・ド・スイス区間優勝 リエージュ〜バストーニュ〜リエージュ4位 |
2018年 | ツール・ド・ロマンディ区間優勝 エシュボルン・フランクフルト2位 ベネルクス・ツアー総合2位 グランプリ・シクリスト・ド・ケベック優勝 グランプリ・シクリスト・ド・モントリオール優勝 |
2019年 | ボルタ・ア・カタルーニャ ポイント賞 グランプリ・シクリスト・ド・ケベック優勝 ブラバンツ・ペイル4位 ロンド・ファン・フラーンデレン6位 |
2020年 | ブルターニュ・クラシック・ウエスト=フランス優勝 ミラノ〜サンレモ3位 |
2021年 | アムステル・ゴールドレース4位 ヘント〜ウェヴェルヘム5位 ミラノ〜サンレモ6位 |
2022年 | ボルタ・ア・カタルーニャ区間優勝 ミラノ〜サンレモ4位 |
2023年 | ツアー・ダウンアンダー ポイント賞 カデル・エヴァンス・グレートオーシャンロードレース4位 グランプリ・シクリスト・ド・ケベック3位 トロフェオ・マッテオッティ4位 |
2024年 | グランプレミオ・カステリョン優勝 グランプリ・シクリスト・ド・ケベック優勝 |