来歴
祖父はグランツール総合表彰台10回のプリドール、父はモニュメント2勝のアドリー。兄ダヴィドもシクロクロッサーと、まさにエリートのハイブリッドとして生まれたファンデルプール。
◆3つの種目を堂々と股にかける男
2018年は国内選でシクロクロス、ロード、マウンテンバイククロスカントリーの三冠達成。24歳ですでに2度のシクロクロス世界制覇を成し遂げている。2019年春には、初のワールドツアークラシック転戦を体験。
2月下旬から10月上旬までは、ロードレースで計10勝をもぎ取り、合間の5月中旬から8月中旬まではマウンテンバイクに参戦して9勝を荒稼ぎ。当然ながら、11月から2月上旬まではシクロクロスで25戦24勝!3度目のシクロクロス世界王座に君臨した。
2021年初戦のUAEツアーで初日優勝・リーダージャージ着用も、チーム内に新型コロナウイルス陽性者が出たとして2日目の朝に大会撤退。2020年のフランドルでは史上初の「父子」優勝を達成したが、シクロクロスはもはや「やりきった感」を抱き始めているそうだ。
◆祖父が未達成のマイヨ・ジョーヌを遂に着用!
2021年夏、祖父が1度も着られなかったマイヨ・ジョーヌを、初出場ツール・ド・フランスで6日間身にまとった。2019年秋にこの世を去った「国民的ププ」の孫は、フランスにとてつもない熱狂を巻き起こした。ちなみに三世代で5大モニュメント全表彰台は達成済み。
一方で東京五輪マウンテンバイクで落車し、一家初の五輪メダルはお預けとなった。落車による背中の痛みは2022年末まで尾を引いたが、父がコース設定に関わったシクロクロス世界選手権までの2〜3週間は治療とエクササイズにあて、年始には5度目のシクロクロス世界選タイトルを見事獲得。翌年には連覇し、6度目の世界王者となる。
圧倒的な存在感とともに、“スーパーリードアウトマン”としての仕事ぶりも見逃せないファンデルプール。ヤスペル・フィリプセンとのホットラインは、プロトン最強のスプリントトレインとなりつつある。「お互い常に尊敬の念がある」という長年のライバル、ワウト・ファンアールトよりは現状スプリンター寄りではあるが、”脚質”で括るにはあまりに語ることが多すぎる。
◆パリ〜ルーべで脅威の60km独走
例年と同じように、2024年もシクロクロスを走り終えて3月にシーズンイン。E3サクソクラシック、ロンド・ファン・フラーンデレンは早めのアタックで勝利に持ち込んだ。
極め付きはパリ〜ルーべ。フィニッシュまで60kmを残したところでアタックすると、他の追随を許さず独走勝利。ツールは盟友フィリプセンのリードアウトに徹し、秋にはグラベル世界選手権で優勝。ロードとシクロクロスと合わせ、実に9枚目のアルカンシエルとなった。
©ARN/Gautier DEMOUVEAUX ©A.S.O./Pauline Ballet
戦績
年 | レース・結果 |
---|---|
2015年 | 世界選手権シクロクロス |
2017年 | エトワール・ド・ベセージュ区間優勝 パリ〜ニース区間優勝 グランプリ・ド・ドナン優勝 ダンケルク4日間 区間優勝 クリテリウム・デュ・ドーフィネ ポイント賞 国内選手権ロードレース優勝 |
2018年 | 国内選手権ロードレース優勝 欧州選手権ロードレース2位 アークティック・レース・オブ・ノルウェー ポイント賞 |
2019年 | 世界選手権シクロクロス優勝 ドワーズ・ドール・フラーンデレン優勝 ブラバンツ・パイル優勝 アムステルゴールドレース優勝 ツアー・オブ・ブリテン総合優勝 |
2020年 | 世界選手権シクロクロス優勝 国内選手権ロードレース優勝 ティレーノ〜アドリアティコ区間優勝 ベネルクス・ツアー総合優勝 ツール・デ・フランドル優勝 |
2021年 | 世界選手権シクロクロス優勝 UAEツアー区間優勝 ストラーデ・ビアンケ優勝 ティレーノ〜アドリアティコ区間優勝 ツール・ド・スイス区間2勝 アントワープ・ポート・エピック優勝 |
2022年 | ジロ・デ・イタリア総合敢闘賞 セッティマーナ・インテルナツィオナーレ・ディ・コッピ・エ・バルタリ区間優勝 ドワーズ・ドール・フラーンデレン優勝 ツール・デ・フランドル優勝 グランプリ・ド・ワロニー優勝 |
2023年 | 世界選手権ロードレース優勝 世界選手権シクロクロス優勝 ミラノ〜サンレモ優勝 パリ〜ルーベ優勝 バロワーズ・ベルギーツアー個人総合優勝&区間1勝 スーパー8クラシック優勝 |
2024年 | E3サクソ・クラシック優勝 ロンド・ファン・フラーンデレン優勝 パリ~ルーベ優勝 |