来歴
デビュー6年目を迎えた2019年に、ミラノ〜サンレモを初制覇。ツール・ド・フランスでも14日間マイヨ・ジョーヌを着用、さらにステージ2勝を挙げ、突如現れたフランスのスターに国民は熱狂。2020年と2021年は世界選手権ロードを連覇。
◆シルバーコレクターだった過去
22歳で初出場したフレーシュ・ワロンヌで2位、リエージュ〜バストーニュ〜リエージュも2位。その後のツアー・オブ・カリフォルニアでも総合2位。翌2016年フレーシュも2位だったし、初出場したツール・ド・フランスも2日目2位で、その後5日間に渡り総合2位のままだった。
レース後はハンドルを叩いて悔しがったものだ。ただその過去をバネにその後の快進撃へとつながった。
◆一躍国民の英雄に
そして迎えた2019年、ツール・ド・フランスをはじめとした、1年を通じた活躍が評価され、年末にサッカー・バロンドールの自転車版「ヴェロドール」を授与された。
さらにスポーツ新聞のレキップからは「年間最優秀フランス人アスリート」に選ばれた。「自転車界のロックスター」「新たなる支配者」なんて大げさなあだ名がつけられるほどの大活躍で、母国フランスでは大騒ぎ。
まさしく英雄と呼ばれるのにふさわしいレースを見せたのにもかかわらず、本人は、「何もないところから這い上がってきた自分」の境遇を決して忘れないし、飾らないシンプルな生き方を貫いていた。
結果に浮かれることなく、どれほど母国ファンからツール・ド・フランスの総合優勝を望まれても、決して首を縦には振らなかった。フランス代表監督をどれほど絶望させようが、「生まれたばかりの息子と家で過ごしたい」と、東京五輪の出場はきっぱりと辞退するなど、自分の望むレースだけに最大限集中を貫いた。
◆あの栄光をもう一度
好調をキープしていた前年からは一転、2022年は苦難の年になった。体調不良や怪我に悩まされ、ツール・ド・フランスは、スタートラインに立つことすらできなかった。ただ本人は、「プレッシャーは全く感じない。ただ、やる気だけは満々だ」と語る。
2024年を最後にスーダル・クイックステップを離れてスイスのチューダープロサイクリングチームへ。チームは格下カテゴリーながらアラフィリップを獲得したことでツール・ド・フランスの主催者推薦をゲットした。7月にかつての走りを再現できるかに期待。
©ASO/Gautier DEMOUVEAUX ©A.S.O./Gautier Demouveaux
戦績
年 | レース・結果 |
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2014年 | ロンドン・サリークラシック3位 ツール・ド・レン ポイント賞&ヤングライダー賞 |
2015年 | ラ・フレーシュ・ワロンヌ2位 リエージュ〜バストーニュ〜リエージュ2位 ツアー・オブ・カリフォルニア総合2位&ヤングライダー賞 |
2016年 | ラ・フレーシュ・ワロンヌ2位 ツアー・オブ・カリフォルニア総合優勝 クリテリウム・デュ・ドーフィネ ヤングライダー賞 |
2017年 | アブダビ・ツアー ヤングライダー賞 パリ〜ニース ポイント賞&ヤングライダー賞 ミラノ~サンレモ3位 ツアー・オブ・広西ヤングライダー賞 |
2018年 | イツリア・バスク・カントリー区間優勝 ラ・フレーシュ・ワロンヌ優勝 クリテリウム・デュ・ドーフィネ区間優勝 クラシカ・サンセバスティアン優勝 ツアー・オブ・ブリテン総合優勝 ツアー・オブ・スロバキア総合優勝 ツール・ド・フランス山岳賞 |
2019年 | ブエルタ・ア・サンフアン区間優勝 ストラーデ・ビアンケ優勝 ティレーノ〜アドリアティコ区間優勝 ミラノ〜サンレモ優勝 イツリア・バスク・カントリー区間優勝 ラ・フレーシュ・ワロンヌ優勝 クリテリウム・デュ・ドーフィネ山岳賞 ツール・ド・フランススーパー敢闘賞 |
2020年 | ブラバンツ・パイル優勝 ミラノ~サンレモ2位 リエージュ〜バストーニュ〜リエージュ5位 世界選手権ロードレース優勝 |
2021年 | ティレーノ〜アドリアティコ区間優勝 ラ・フレーシュ・ワロンヌ優勝 ツール・ド・ラ・プロヴァンス総合2位 リエージュ〜バストーニュ〜リエージュ2位 ストラーデ・ビアンケ2位、ブルターニュ・クラシック2位 世界選手権ロードレース優勝 |
2022年 | ツール・ド・ラ・プロヴァンス総合2位&ポイント賞 イツリア・バスク・カントリー区間優勝 ツール・ド・ワロニー区間優勝 ラ・フレーシュ・ワロンヌ4位 |
2023年 | フォーン=アルデシュ・クラシック優勝 クリテリウム・ドゥ・ドーフィネ 区間1勝 |
2024年 | サントス・ツアー・ダウンアンダー個人総合6位 ジロ・デ・イタリア区間1勝 オコロ・スロベンスカ ポイント賞 チェコ・ツアー区間1勝 |