来歴
タデイ・ポガチャルやレムコ・エヴェネプールと同期に当たり、年齢はエガン・ベルナルと1ヶ月違いのヨナス・ヴィンゲゴー。あまりに有名すぎる若手スターたちの影に隠れていたのだろうか。本人曰く「すぐ緊張するタイプ」で、それが成長を妨げてきたのかもしれない。
◆モンスターの影に隠れたガラスのハートを持つ男
2019年のツール・ド・ポローニュ/ポーランド一周で、プロ人生初の総合リーダージャージを着用。その翌朝は食事が喉を通らなかったとの逸話も。それでも2021年にパパとなり、「人生でもっと大切な事を知ったおかげで、自転車程度では気持ちが揺らがなくなった」と語る。
同年夏、トム・デュムランの休養宣言に伴いフランスへ。さらにプリモシュ・ログリッチが途中棄権となり、代理からエースに押し上げられた。山頂区間でポガチャルに次ぐ2位入賞。個人TTは3位。パリでは総合2位に輝いた。
◆母国デンマークの地で快進撃!
2022年に母国デンマークで開幕したツール・ド・フランスでは、総合表彰台の一番の高みに上った。最終ステージのTT2位、超級山岳フィニッシュの区間優勝も2つ挙げ、ずば抜けたチーム力とTT能力の高さ、山岳での際立った強さを見せつけた。
若い頃から心機能の強さはお墨付きだが、考えすぎて不安を膨らませてしまう繊細なハートの持ち主だったヴィンゲゴー。メンタル面で安定してきたのは、チームコロクイック所属時代に広報を務めていた妻のサポートのおかげとのこと。
◆名実ともにエースへ
ヴィスマ・リースアバイクの「エース論争」に終止符が打たれた。長くチームを牽引したプリモシュ・ログリッチが、より自身を中心にプログラムが組めるチームへ移籍。心優しき仲間思いのチームリーダーとなったヴィンゲゴーは、2023年のブエルタ・ア・エスパーニャで恩返し。山岳最終アシストとして常に最高の仕事をしてくれるセップ・クスを、頂点に導こうと汗を流した。
また、苗字の一方を妻の姓であるハンセンに変更。戸籍、UCI登録もヨナス・ヴィンゲゴー・ハンセン(Jonas VINGEGAARD HANSEN)に。母国デンマークでは大きな話題になったとか。
◆バスクで命に関わる大事故、ツール総合2位は帰還の証
ツール3連覇を誓った2024年。ティレーノ〜アドリアティコに勝ち、その道筋は順調と思われた。しかし、イツリア・バスクカントリー第4ステージで大クラッシュ。複数箇所を骨折し、みずからにして「命の危険を感じた」とも。
奇跡的な急回復からツールに乗り込み、第11ステージではポガチャルに勝利。涙の復活劇となった。総合2位で終え、連覇はならなかったが、「3週間をトップレベルで走れただけで十分」と本人談。
©A.S.O./Charly Lopez ©A.S.O./Pauline Ballet
戦績
年 | レース・結果 |
---|---|
2019年 | ツール・ド・ポローニュ区間優勝 デンマーク・ルント総合2位 ドイツ・ツアー 総合9位 |
2020年 | ツール・ド・ポローニュ総合8位 |
2021年 | ツール・ド・フランス総合2位 セッティマーナ・インテルナツィオナーレ・ディ・コッピ・エ・バルタリ総合優勝&ポイント賞 UAEツアー区間優勝 イツリア・バスク・カントリー総合2位&ヤングライダー賞 |
2022年 | ツール・ド・フランス総合優勝&山岳賞 ドローム・クラシック優勝 ティレーノ〜アドリアティコ総合2位 クリテリウム・デュ・ドーフィネ総合2位 CROレース総合2位 イツリア・バスク・カントリー総合6位 |
2023年 | ツール・ド・フランス個人総合優勝&区間通算3勝 ブエルタ・ア・エスパーニャ個人総合2位&区間通算2勝 グラン・カミーニョ総合優勝&山岳賞 |
2024年 | ティレーノ〜アドリアティコ総合優勝&山岳賞 ツール・ド・フランス総合2位 ツール・ド・ポローニュ総合優勝 |