来歴


U23世界チャンピオンとしてプロ入りし、初年度にクラシックを獲得。2016年にはミラノ〜サンレモでモニュメント覇者に。世界屈指のスプリンターとして名を挙げていった。


いわゆる確変状態に入ると、もはや誰にもその勢いは止められない。平地ステージ全勝はおろか、スプリンターとしては珍しくステージレース総合8勝を誇る。だが、勝てない時は本当に勝てない。シーズン初勝利が5月になることもザラと、ピンキリな選手だ。


◆勝利数増を目指し、スプリントレースを厳選


2年で19勝を挙げた、2017年と2018年は「最高の出来」だったと語るデマール。特に2018年のツール・ポワトゥ・シャロントでは、初日から最終5日目まで1ステージたりとも漏らさず勝利を収める快挙を記録。しかし2019年はたったの5勝。「どうして両手を上げるのがこんなに難しくなったんだろう」と悩むことも。


そこで、スプリンター向け区間の多いステージレースを積極的に転戦。その選択が功を奏し、2020年は14勝!人生3枚目のフランスチャンピオンジャージと、初めてジロ・デ・イタリアのポイント賞ジャージ「マイヨ・チクラミーノ」も手に入れた。


アルノー・デマール

◆波に乗り切れない歯がゆさ


2022年ジロも大当たりした一方で、肝心のツール・ド・フランスにピークの山を持ってこられないのは最大の悩み。過去5回の出場で区間たったの2勝、制限タイムアウトも2回。フランスのナンバーワンスプリンターでありながら、ツールメンバーに選んでもらえないことが多かった。


そんな中、2023年に晴れて2年ぶりのツール行きが約束される。さらに、「今までアシストというものをしたことがない」と語ってきた男が、パリ〜ニースでは総合エースのダヴィド・ゴデュの中間ボーナス獲りのために一肌脱いだ!ツールへの想いの強さが窺い知れた一幕だったが、一転。


結局メンバー外となり、チームを率いるマルク・マディオ氏との確執は決定的なものに。そんなとき救いの手を差し伸べたのが、「アルケア・B&Bホテルズ」。GMのエマヌエル・ユベール氏からの「12年間よくがんばり、耐えてきたね」との言葉には、感情を大きく揺さぶられたそう。2024年シーズンのレースでは、新たなチームへの恩返しとリベンジを走りに込めた。


◆チームのトップカテゴリー維持のため勝利量産が求められる


6年ぶりの参戦となったツールでは1勝もできず、第19ステージでタイムアウト。秋に何とか2勝してチームの戦力になれることを示したが、この結果はさすがに物足りないことを自身も認める。


2025年シーズンに入り、チームは翌年のカテゴリー降格の危機にあり是が非でもUCIポイントが必要な状況。かつてのように勝利を量産し、チームをUCIワールドチームに残留させることが大きなミッションとなっている。


アルノー・デマール

©A.S.O./Kare Dehlie Thorstad   ©Unipublic / Cxcling

戦績

                   
レース・結果
2012年 ファッテンフォル・サイクラシックス優勝
2013年 ダンケルク4日間レース総合優勝&ポイント賞&ヤングライダー賞
ツール・ド・スイス区間優勝
2014年 ダンケルク4日間レース総合優勝&ポイント賞
国内選手権ロードレース優勝
2016年 ミラノ〜サンレモ優勝
2017年 エトワール・ド・ベセージュ区間優勝
パリ〜ニース区間優勝
グランプリ・ド・ドナン優勝
ダンケルク4日間 区間優勝
クリテリウム・デュ・ドーフィネ ポイント賞
国内選手権ロードレース優勝
2018年 パリ〜ニース区間優勝
ミラノ〜サンレモ3位
ツール・ド・スイス区間優勝
ツール・ポワトゥ・シャロント総合優勝
2019年 ルート・ドクシタニー ポイント賞
ツール・ド・ワロニー区間優勝
2020年 ジロ・デ・イタリアポイント賞
ミラノ〜トリノ優勝
ツール・ド・ワロニー総合優勝&ポイント賞
ツール・ポワトゥ・シャロント総合優勝&ポイント賞
国内選手権ロードレース優勝
ツール・ド・ルクセンブルク区間優勝
2021年 ラ・ルー・トゥランジェル優勝
ボルタ・ア・ラ・コムニタ・バレンシアナ ポイント賞
ブックル・ドゥ・ラ・マイエンヌ総合優勝&ポイント賞
ルート・ドクシタニー区間優勝
パリ〜トゥール優勝
2022年 ジロ・デ・イタリアポイント賞&区間通算8勝
ルート・ドクシタニー区間優勝
ツール・ド・ポローニュ ポイント賞
グランプリ・ディスベルグ優勝
パリ〜トゥール優勝
2023年 ブークル・ド・ラ・マイヨンヌ 区間1勝
ツール・ド・ヴァンデ優勝
パリ〜ブールジュ優勝
2024年 パリ~ショニー優勝