競技ルール&ポジション
解説
解説
基本ルール・試合形式
- 一般的な試合は6人形式
- サーブを受けてから、3回以内でボールを相手コートに返さなければならい
- 相手の床にボールをを落とせば1得点
- 身体のどでボールに触れてもOK
- 得点を決めたチームがサーブ権を得て時計回りに指定されたポジションへローテーションする
- 1セット25点
- 3セット選手で勝利
- 最終セットは15点
コートの大きさ
- 横幅(サイドライン):18m
- 縦幅(エンドライン):9m
- センターラインとアタックラインの間:3m
- ネットの高さ:女子/2.24m 男子2.43m

ローテーション
バレーボールでは一つのプレーが終了する(得点が入る)たびに、コート上の6名が時計回りに移動する。これによって前衛3名、後衛3名の顔ぶれが変更され、ゲームの妙を生む。基本的に、6名の選手の配置は、前衛(フロント)と後衛(バック)それぞれでレフト/センター/ライトの3つに分けられ、図のような数字が当てられている。
セッター(Setter)がポジション1〜6のどこにいるかを基準として、例えばセッターがサーブを打つポジション1にいる場合は「S1」、ポジション2ならば「S2」、ポジション3ならば「S3」…と呼ばれる。つまりゲームの中で、一つのチームは「S1」から「S6」まで6つの異なる配置を用いて戦っているというわけだ。
「S1」の場合の基本的な選手の配置は、下記のようになる。(※ここではバックオーダーと呼ばれる、トップレベルでは主流のローテーションを用いて説明)
S1からS6まで、チームによっては強みとするローテーションや反対に苦手とするローテーションもある。得点の確率が高いからブレイクを重ねて優位に試合を進められる、失点を抑えるべく早く切り抜けたい、また、相手側と自チームの選手のマッチアップやサーブ順を考慮してセットによってローテーションを変えよう、など戦況それぞれに両チームのねらいや思惑があり、今どのローテーションなのかを踏まえながら試合を観戦すると、さらにバレーボールの奥深さに触れることができるだろう。
ポジションの紹介
アウトサイドヒッター(OH)・・・攻守にわたり全方位で活躍する攻守の要
攻守双方で高い貢献度を示すポジションであり、チームの“エース”としてコートに立つ。誰よりも高く跳び、相手ブロックを難なく攻略し得点につながる。そこでは的確に空いているコースを抜くほか、ブロックを巧みに利用する器用さも。
また相手も攻撃力を警戒してサーブのターゲットとしてくるが、それはこのポジションの宿命。どれだけサーブを浴びようとも安定感あるレシーブでチームの攻撃の起点となり、ときにはそこから自らも攻撃に参加することもいとわない。
◆◆◆ここに注目!!◆◆◆
オールラウンダー
攻撃ではアタックを、守備ではレシーブを繰り出し、ボールコントロールにすぐれる選手は状況によって二本目つまりトスを上げる役回りを担うこともある
テクニック
スパイクのみならずフェイントやプッシュなどテクニックを駆使して得点につなげる。また、アタックの助走から空中で、別のアタッカーへトスを上げる「フェイクセット」を繰り出すことも
THE・エース
チームを勝利に導く存在、それはどのポジションにも当てはまることだが、やはり攻守双方で活躍するアウトサイドヒッターが“エース”と冠するに値する
セッター(S)・・・正確なパスで試合をコントロールする司令塔
自分たちと相手がどのような状況にあるかを瞬時に判断し、的確なアタッキングチョイスでアタッカーへボールを供給する、まさに“司令塔”の役目を担う唯一無二のポジション。試合を通して攻撃を組み立てるトスワークの中には、相手との心理戦やネット越しの目線の変化など高度は駆け引きも含まれる。
一本目のレシーブがいかに乱れようとも、即座に走り込み、そこからアタッカーへ選択肢の多いトスをいかに上げられるか。献身的かつゲームを支配する、という一見、真逆に映る能力が求められる。
◆◆◆ここに注目!!◆◆◆
セットアップ
どんなシチュエーションでも、どんな体勢からでも正確無比なトスをアタッカーへ上げる
発想力
効果的に得点へつなげるためには、相手の守備陣形を切り裂くことはもちろん、ときには味方すらも驚かせるようなチョイスを繰り出すことも
個人技
ポジション柄、レシーブとアタックを中継する役目ではあるものの、トスを上げるふりをして二本目のパスを自ら打ち込む「ツーアタック」や、サーブで得点を奪う個人技も備える
ミドルブロッカー(MB)・・・高い壁で相手を封じ込める守りの要
比較的サイズの大きな選手が就き、チームの最前線に立つポジション。セッターから放たれたトスをすぐさま打ち込むクイックは確実に得点につなげることを求められる。対して守っては、その体格や腕の長さを活かしたブロックで相手の攻撃を最前線ではね返す。
攻撃のシチュエーションでは、アウトサイドヒッターやオポジットといった両サイドのアタッカーが得点しやすいように、相手ブロッカーをひきつける“おとり役”を担う。ミドルブロッカーとして相手からいかに警戒されるかも、チームにとっては大きな要素。
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ブロック力
相手の動きにタイミングを合わせ、ときには心理やシチュエーションを読みながら繰り出すブロックは代名詞
豪快さ
チーム内でもとりわけ体格の大きな選手とあって、アタックもブロックも豪快そのもの。そのうえでブロックに跳んで着地してから、クイックの助走に入る速さも特筆
レシーブ!?
サーブを打ってからプレーが終わると大抵はリベロと交代するが、ラリーが続くなかでは後衛でレシーブに回るときも。そこでディグを上げると、歓声が湧き上がりチームのムードも一気に上昇
オポジット(OP)・・・決定力と安定感でチームを支えるエース
チームを牽引するエースの中でも攻撃に特化し高い決定力を備えることから、かつては「スーパーエース」と呼称された時期もあるポジション。セッターの対角に位置し、基本的にはサーブレシーブに参加せず、攻撃に専念する。いちばんの補強ポイントとして、高さとパワーを備えた外国籍選手が就くことが多い。
女子では攻撃に特化するオポジットもいれば、同じセッター対角ではあるものの、サーブレシーブに参加するなど攻守両面でのプレーが求められる「ユニバーサル」もいる。(国際大会では正式なポジション名として表記される場合も)
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アタック決定力
決定力の高さから、一試合の中でもとりわけ打数が多いポジション。豪快かつ器用に得点を重ねる
強烈なサーブ
アタックと同様に強烈なスイングから、時速100キロ、男子では時速120キロを超える弾丸サーブを放つオポジットも多数
目に見える信頼感
ポジション柄、味方が懸命につないだボールを最後の託されるシチュエーションが試合中は何度も見られる。決めきったときの喜びと信頼関係の結晶は、見るものの胸を熱くさせる
リベロ(L)・・・守備でチームを支える頼れる職人
バレーボールの歴史上で最も直近に誕生した、いわゆる守備専門のポジション。コート上では、ほかの選手と異なる色のユニフォームを着用する。ローテーション上、後衛の選手と交代することでコートに立つ。アタック禁止、アタックラインの内側でのオーバーハンドパス禁止などプレーの制限がある。チームのディフェンスを統率する、コート上の監督のような役目も。
◆◆◆ここに注目!!◆◆◆
レシーブ力
相手の強烈なアタックとサーブ、加えて「落ちる!!」と思ったボールを難なく拾い上げる
俊敏な動き
相手の攻撃に対して瞬時に位置取りを図る。さらには味方が弾いたボールやコート外に出そうなボールにも食らいつき、チームのピンチを救う
周りへの声かけ
相手の攻撃に対して、いかにディフェンスをするか。前衛のブロッカーや後衛でレシーブに入る選手たちにポジショニングを指示する
用語解説
アタック
攻撃全体を指し、そのなかに「スパイク」(強く打つ)「フェイント」(強く打つと見せかけてスイングを緩めて打つ)「プッシュ」(ボールを押し込む)などのバリエーションがある
クイック
アタックの種類の一つ。セッターがトスしたボールを瞬時に打つ攻撃で、主にミドルブロッカーが繰り出すアタックになる。セッターとアタッカーの距離や位置によって呼び方も変わる。セッター自身の前方へ近い距離へ上げたトスを打つクイックが「Aクイック、」距離が2メートルほど離れたのが「Bクイック」、逆にセッター自身の後方へ近い距離へ上げたものが「Cクイック」、その距離が2メートルほど離れたのが「Dクイック」となる。
ブロックアウト
アタックを放つ際に、相手ブロックにわざとボールを当てることでコート外に弾き出すなどして得点につなげるプレー
バックアタック
前衛からアタックを打つことができない後衛の選手が、アタックラインの後方から放つアタックを指す。特に、相手ブロッカーが両サイドに開いたシチュエーションで、センターエリアから放つバックアタックを「パイプ攻撃」と呼ぶ
サーブ
得点が決まってから、新たにプレーをスタートする際に、選手がボールを相手コートに入れるいちばん最初のプレー。ボールを押し出すように打つことであえて回転数を抑える「フローターサーブ」や、逆に強く叩くことで強烈なスピンをかけて速い打球を生む「ドライブサーブ」などの種類がある
サービスエース
サーブで得点することを指す。相手に触れることなくコートにボールが突き刺さって決まったものを「ノータッチエース」と呼ぶ
レセプション
サーブレシーブ。相手サーブを捕える一本目のレシーブを指す。「キャッチ」の呼び方は現在推奨されていない
ディグ
相手アタックを捕える一本目のレシーブを指す。「スパイクレシーブ」と呼ばれることも
トランジション
プレー中に攻守が切り替わることを示す。相手アタックをレシーブで切り返してから仕掛ける攻撃を「トランジションアタック」と呼ぶ
サイドアウト
サーブ権を持たないチームが得点に成功し、サーブ権を得ること
ブレイク
サーブ権を持ったチームが得点に成功し、続けてサーブ権を継続させること
タイムアウト
各チームが1セットの中で最大2回まで要求できる。一回につき30秒間
テクニカルタイムアウト
第1セットから第4セットまでにおいて、各セットでどちらかのチームが先に12点に達成した際に自動的にとられる60秒間のタイムアウト
チャレンジシステム
審判のジャッジやきわどい判定について、チームがビデオ確認を要求することができるルール。2024-25 SVリーグでは男女とも一試合につき3回まで失敗できる。失敗した場合はジャッジや判定がくつがえらず、逆に成功した場合は要求回数が減らない
グリーンカード
選手の反則が判定される前に、当該選手が自己申告した際、そのフェアプレー精神をたたえて提示されるカード。シーズンを通して最多グリーンカードを保持した選手には「フェアプレー賞」が授与される
Text by 坂口功将