坪谷　亮太

埼玉・鴻巣市のクラブチームで中学卒業までプレーし、高校進学に際して大きな決断を下すことになった。山陰・鳥取の県立境高にサッカー留学することにしたのだ。
全国選手権の常連だった境高時代の記憶は「とにかく走りの練習がきつかった」「3年とも県予選決勝で負けて選手権に出られなかった」こと。馴染みのない土地で挫折感と向き合い、その悔しさをバネに強豪校の専修大に進んだ。が、ここでも「先輩や同期が次々とプロになっていく中、心が折れる日々」だった。
専修大卒業時の選択肢は「海外でプレーする」「テレビで見て興味を持ったビーチサッカーに挑戦する」のふたつ。結果、小学校時代のチームメートがいた「ソーマプライア沖縄」の練習生になった。そして、ビーチサッカーの魅力に取りつかれることになった。
24歳の時に当時のラモス監督から日本代表に初招集され、2021年ロシア大会で初めてワールドカップの代表メンバーに選ばれた。日本代表は準優勝という快挙を成し遂げる。しかし、決勝トーナメントは全試合ベンチ外。喜びと悔しさの狭間で、心が揺れ動いた。
その時の姿を見逃さなかったのが、田畑監督だ。練習では率先して荷物持ちをやり、試合中は大きな声を振り絞ってチームメートを鼓舞する。不貞腐れることなく、勝てば一緒に喜び、負ければ悲しみを共有する。指揮官はキャプテンマークを託した。
「どの選手も“仲間の良さを引き出せるプレーができる”のが、チームの強みです。キャプテンとしてプレーでみんなを引っ張って、ようやく帰ってこれたワールドカップでロシアのリベンジを果たしたいと思います」