3月はサイクルロードレースシーンにおいて大事な、大事な1カ月。唯一無二の価値を持つワンデークラシックから、“仮想グランツール”の意味合いを持つステージレースまで、重要な戦いがひしめいている。そんな“Big Month”に向けて、いま一度見どころを整理しておこう。これを読めば、3月のレースが楽しくなること間違いなし! 観戦バイブルとして役立ててほしい。
■ミラノ~サンレモ初制覇なるか ポガチャルがいよいよ始動
待ちに待った王者のお出ましだ。
今年のツール・ド・フランスで5度目の大会制覇を目指すタデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ・XRG)が、3月7日開催のストラーデ・ビアンケで2026年のレース活動を始動する。
イタリア・トスカーナの砂地でシーズンインするのは一昨年以来。あのときは、驚異の80km独走劇を演じ、その後のジロ・デ・イタリアとツールの2冠「ダブルツール」につなげた。
今年はひとまずツールを最大目標としているが、そこまでの道筋が現段階のポイントでもある。ストラーデ・ビアンケで3連覇に挑んだ後は、3月21日のミラノ~サンレモに出走を予定。ここまでタイトルに縁のない“ラ・クラッシチッシマ”への勝利にも強い意欲を見せており、この1カ月はイタリアでの2戦で絶対王者のコンディションをある程度測ることができそうだ。
日頃からレース追いをしている者にとっては、目になじんでいるポガチャルのマイヨ・アルカンシエル。今年はどれほどの数、強く、鮮やかな虹を架けるだろうか。いよいよ、真打ちが腰を上げる。
■ダブルツール目指すヴィンゲゴーはパリ~ニースから
ポガチャルと並び、近年のサイクルロードレースシーンを牽引するヨナス・ヴィンゲゴー(チーム ヴィスマ・リースアバイク)も同じタイミングでシーズンをスタートさせる。
こちらは対照的に、今年は自身初のダブルツールに挑戦。その第一歩として2月のUAEツアーでの動き出しを予定していたが、シーズンイン目前のトレーニング中に落車負傷。それも、追いかけてきた一般サイクリストから逃れようとしていた際のアクシデントとあり、心身ともにダメージを負ってしまった。加えて、同時期に体調を崩したことも関係し、シーズンインを遅らせる判断を下している。
そうして迎えるのが、3月8日開幕のパリ~ニース。意外にもこの大会を勝ったことがなく、2023年大会では個人総合3位で終えたものの、ポガチャルに1分39秒差をつけられる“完敗”。昨年は一時リーダージャージに袖を通したが、大会終盤にコンディションを落としてリタイアに終わっており、今年は3度目の正直となるか。
もっとも、ヴィンゲゴーにとって3月はダブルツールの実現可能性を測る大事な時期。パリ~ニースの後は23日開幕のボルタ・ア・カタルーニャを走り、最終の調整期間に入る。現段階ではジロ前のレース出場は前記2レースのみ。“仮想グランツール”として高いプライオリティを持つこれらのレースで成果を挙げられるかが、その先の浮沈にもかかわってきそうだ。
過去2度のツール制覇、さらに昨年はブエルタ・ア・エスパーニャ初戴冠。そして今年、ジロを勝てば全グランツール制覇の偉業。壮大なチャレンジへ、この1カ月が肝となる。
■ロード移行がスムーズに進んだマチュー
春のクラシックに欠かせない男はまだまだ控えている。
近年のクラシックレースで数々の勝利を挙げ、ポガチャルとの歴史的な激闘を演じ続けるマチュー・ファンデルプール(アルペシン・プレミアテック)も準備は万端だ。
シクロクロスでは8度目の世界王者となり、その脚と勢いは輝きを増すばかり。ロードレースへの移行期は、数日間の休養をはさみながら問題なくトレーニングをこなしている。今年のロード初戦がどこになるか流動的だったが、2月28日のオンループ・ニュースブラッドから走り出すことが決定。そこで問題がなければ、3月9日開幕のティレーノ~アドリアティコで最終の仕上げをして、21日のミラノ~サンレモへ。レーススケジュール的には昨年からの大幅な変化はない。
もちろん、心身のヤマはミラノ~サンレモへともっていく。2度目の優勝だった昨年は、フィリッポ・ガンナ(イネオス・グレナディアーズ)、ポガチャルとの三つ巴戦からの劇的勝利だったが、今年は果たして。
文:福光 俊介






