藤井雄一郎新監督を迎え、しぶといラグビーで上位を狙う

スクラム、モールを武器とするスタイルは不変の静岡ブルーレヴズ。今季は宗像サニックスの指揮官や、日本代表の強化委員長などを務めた藤井雄一郎が新たに監督に就任、日本代表のスクラムコーチだった長谷川慎もアシスタントコーチに迎えて飛躍を遂げたい。

トップリーグ時代は『ヤマハ発動機ジュビロ』というチーム名で「和製FW（フォワード）」を武器に、2014年度には日本選手権を制した。リーグワン参入にあたり、地域に根ざした事業化、静岡県全域でのさらなるクラブの価値向上を目指すため、山谷拓志を社長に迎えて、日本初となるラグビーに特化したプロクラブ「静岡ブルーレヴズ」に生まれ変わった。

ブルーはもともとヤマハ発動機の色で、レヴズはヤマハ発動機のブランドスローガン「Revs your heart」（心をアゲる）から取り、ブルーとレヴズ（ワクワク感や人を動かす）の2つの言葉をつなげた。

ホストエリアは静岡県全域で、ホストスタジアムは『エコパスタジアム』『ヤマハスタジアム』を使用している。ロゴや新エンブレムも富士山や草薙の剣がデザインされるなど静岡色が濃いものとなった。

一昨季はコロナ禍の影響もあって8位。昨季もクロスゲームを勝ちきれず、再び8位に終わった。そのため今季は指導陣を一新したというわけだ。昨季までHC（ヘッドコーチ）だった堀川隆延は、アシスタントコーチとしてチームに残留、有賀剛アシスタントコーチも指導を続けている。

今季は、在籍6シーズン目を迎え、ワールドカップで連覇を達成した南アフリカ代表NO8（ナンバーエイト）クワッガ・スミスが単独のキャプテンとなり、FL（フランカー）庄司拓馬、WTB（ウイング）マロ・ツイタマの2人がバイスキャプテンを務める。また、ワールドカップのトンガ代表だったFB（フルバック）チャールズ・ピウタウ（ブリストル）も新たに加わっている。

スミス キャプテンは「ブルーレヴズの素晴らしいリーダーや選手たちとともに最高のシーズンにしたい。ハードワークを積み続け、必ず最高のパフォーマンスをファンのみなさんにお見せします」と意気込んでいる。

FW（フォワード）は元日本代表HO（フッカー）日野剛志、LO（ロック）大戸裕矢、PR（プロップ）伊藤平一郎、FL／NO8マルジーン・イラウアを中軸に、PR西村颯平、岡本慎太郎、河田和大、茂原隆由、HO植木悠治、平川隼也、リッチモンド・トンガタマ、LOマリー・ダグラス、桑野詠真、三浦駿平、バックローにはFLジョーンズリチャード剛、ニュージーランド留学を経験した舟橋諒将らがいる。

BK（バックス）では、SH（スクラムハーフ）にブリン・ホール、元日本代表のベテラン矢富勇毅、吉沢文洋、司令塔はオーストラリア出身のSO（スタンドオフ）／FBサム・グリーン、CTB（センター）は突破力に優れたヴィリアミ・タヒトゥア、タックラーの鹿尾貫太、石塚弘章、7人制日本代表歴のあるジョニー・ファアウリ。

バックスリーにはスピードが武器のベテランWTB伊東力、矢富洋則、キーガン・ファリア、フランス留学で力を付けたFB奥村翔、山口楓斗らもいる。

他チームからはLOシオネ・ブナ（日野レッドドルフィンズ）、LOジャック・ライト（ブランビーズ）、CTBシルビアン・マフーザ（浦安D-Rocks）、ハンター・リム（ブラザーズ）が新加入。

大卒新人はLO八木澤龍翔（筑波大学）、FL齋藤良明慈縁（東洋大学）、SO家村健太（京都産業大学）CTB伊藤峻祐（東海大学）、WTB槇瑛人（早稲田大学）が加入。特にSO家村、WTB槇はアーリーエントリーで昨季から活躍している。

今季のスローガンは「RevAmp」（リヴァンプ）と定めた。「Rev」（エンジンの回転数を上げる）を「Amp」（増幅させる）という意味で、新しいコーチ、選手、社員を迎えて、事業・強化ともに新たな組織体制で挑み、「新たにより良く」していこうという意味を込めた。

伝統的にスクラム、モールの強いブルーレヴズに、サニックスなどで培ってきたランニングラグビーで戦ってきた藤井雄一郎監督が、どんなプラスアルファを見せてチームを進化させていくかに注目が集まる。新指揮官は「そう簡単に勝ち星を渡さない、しぶといチームを作っていきたい」と語気を強めたように、今季は白星を先行させて上位に食い込みたい。

TEXT:斉藤健仁