ツール・ド・フランスを知るための100の入り口

ツール・ド・フランスを知るための100の入り口:アルプスとピレネー



第1回大会から1951年までフランス中を、円を描くようにまわっていたツール。その間、1926年と1951年を除き、初日スタートはパリだった。

ということはすなわち、毎回時計回りの進路をとった場合、東に位置するアルプスの方が西のピレネーよりも常に先になってしまう。ピレネーを先にするには反時計回りでなくてはならない。

第1回大会から右回りを貫いていたツールが初めて左回りに設定されたのは、1913年のこと。1910年にピレネー、1911年にアルプスを本格導入するようになり、山岳ステージを重視するようになった時代。双方の山をいつもと逆の順序で周るためのアイディアと考えられる。

ここに面白い統計がある。標高・斜度などの数学的データをもとにポール・ブリが作成した年代別の山岳難易度の棒グラフによると、アルプスとピレネーの2大山岳地帯が組み入れられて以降、1913年から21年まではピレネーの方がやや難コースだった。

しかし1922年から30年まではアルプスが勝り、1931年から35年までは同程度。しかし、1936-51年にかけては圧倒的にアルプスの難度が増していた。

すると、それと符合するかたちで、1936~51年の16年間は、1936、37、47年の例外を除き、すべてアルプスの方が「後」にくる反時計回りの設定だった。見ごたえある難度の高い山をクライマックスにしたい、そんな思惑が感じられる。

昨今では周る向きは、均等に扱われている上に、スタート地点がパリでなくなったため、モナコスタートの2009年のように、右回りでもアルプスが後にくることすらある(2009年大会ルートマップ)。

つまるところ、周回の向きや、アルプス/ピレネーの先行順が、単純にレースを左右すると考えられる時代では、もはやない。

戦略は進化し、最難関が常に勝敗を分けるわけでもない。どんなレイアウトであれ、予期せぬ落とし穴は、至る所で待ち受けている。

※本企画は2013年6月に実施されたものです。現在と情報が異なる場合がございますが、予めご了承ください。


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