文:木村浩嗣

ブエルタ・ア・エスパーニャのファンの中にはレースだけでなく、景色を楽しんでいる人も多いのではないだろうか? 今でこそドローンの普及で空撮は当たり前になってしまったが、ヘリコプターをばんばん飛ばすブエルタの中継は、住み慣れた街を上から見る唯一の機会だった。

スペインは上から見ると美しい。オリーブ畑や赤茶けた大地と草原、ごつごつとした武骨な岩山、川沿いの森林など自然も美しいが、特に都市や村が美しい。白い壁、茶色の瓦の家々、どんな小さな村にも必ずある広場と一際高い教会の塔、石造りの橋、断崖絶壁にそびえ立つ古城……。歩いていると道にゴミは落ちているし、放棄された建物や空き地も結構あって必ずしも綺麗ではないのだが、そういう醜いディテールは上からと全部飛んでしまい、スペイン的な風景が広がる。“いつかは現地でブエルタを見たい”と憧れている人もいるだろう。

日本の空撮風景と比べると、スペインのそれが色にしても建物にしても統一感があるのは、厳しい景観条例があるからだ。中世の建造物が集中する旧市街では高さ(基本的に教会よりも高いものは禁止)、形、色、素材に至るまで細かな規制があり、周囲と不調和なものは建てられない。有名なハンバーガーチェーンでもあの派手ない赤や黄色は使えず、旧市街では茶色や黒など目立たない色でないと出店が許されない。よって、こちらでよくあるのは、建物の外観は古いものをそのまま生かし、中身だけごっそりリフォームしてしまうやり方。ホテルチェーンなどはこの方法で旧市街に進出している。スペインの世界遺産登録数は、46でそのうち40が建物や街並みなどに与えられる文化遺産である。世界3位の登録数を誇る背景には、歴史の保護に対する厳しい監視の目があるわけだ。

今年のルートで絶景を楽しめるステージ、ベスト10を選んでみた。第2ステージ、カミ・ニート・デル・レイ(絶壁に貼り付く細い道)、第3ステージ、ロンダ(深い谷をまたぐヌエボ橋)、第5ステージ、グラナダ(アルハンブラ宮殿とヘネラリフェ庭園)、第6ステージ、呪われた街ボル・ヌエボ(キノコのような奇岩)、第10ステージ、アルメンドラ(スペイン有数の巨大ダム、)第12ステージ、エスタカ・デ・バーレス(大西洋に突き出した灯台)、第14ステージ、ラス・プラエーレス(牧歌的な草原と牛)、第15ステージ、ラゴス・デ・コバドンガ(池を囲む石灰岩の山)、第17ステージ、バルコン・デ・ビスカイヤ(バスク地方特有の深い森)、第20ステージ、アンドラ(万年雪のピレネー山脈を満喫)。ブエルタはレースを見るだけではもったいない。

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J SPORTS 編集部

お知らせ

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マラガからマドリードまで、灼熱のスペインを駆け抜けるグランツール最終戦。勝敗を決めるのは、体力か、知力か、それとも女神の微笑か。3271.4km先のゴールを目指し、23日間の壮大なドラマが、はじまる。


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