昨季の今ごろ、Bリーグチームのあるコーチからこんなことを言われたことがある。

「どうしてレーンに入らないのかな? あれはおかしいよ」

これは、シューティングファウルをもらった選手が最後のフリースローを打つ際、チームメイトは一人もレーンに入らず、ミスとなった際のリバウンド争いに加わらないことを意味している。

NBAではファウルした側の選手が3人、フリースローを打つ側の選手が2人、必ずレーンに入らなければならない規定がある。一度リングに当たったシュートがシリンダー上にある場合、オフェンスもディフェンスも関係なく、選手が触った時点でゴールテンディングになる。しかし、FIBAルールはフリースロー時にレーンに選手が5人そろわなくても問題ないし、シュートがリングを弾いた時点で、どの選手もボールにタッチできる。

もし、フリースローを打つ選手のチームメイトがレーンに入らなければ、ファウルした側の選手たちはボックスアウトの必要がなくなり、ボールにより早く反応しやすくなる。リングに当たった後のシュートが入るか入らないか微妙な状況になった場合、ボックスアウトをする必要のない選手はボールを弾き出すことで、フリースロー失敗という結果を導き出せるのだ。

先週末に行われた第10節の試合でも、こういったシーンが実際にあった。試合自体は4Qで差がついたといえ、土壇場までもつれるようなゲームだったならば、このフリースローミスが勝敗を大きく左右していたかもしれない。リングの間をきれいに通過するフリースローを決められればベストだが、すべてそうなるわけではなく、「フレンドリーロール」と呼ばれるリングを何度か弾きながら入る例もしばしば見られる。

「最後までしっかりやろう」、「集中を切らすな」という言葉は、どの試合でもよく耳にする。フリースローを打つ選手のチームメイトがレーンに入らないというのは、ディフェンスをしっかり準備したいという意図があるかもしれない。しかし、相手より1点でも多く取らなければ勝てないというゲームの本質からすれば、あるコーチの疑問と見解に多くの方が納得できるのでは? シューターの成功失敗以外にも、フリースローには勝敗を左右しかねない重要な部分が隠されているのだ。

「たかが1点、されど1点」

習慣のスポーツと呼ばれるバスケットボールにおいて、ビッグゲームで勝てるチームはこういった繊細なところまで注意を払う。フリースローの際にシュートを打つ側の選手が必ずレーンに入るという行動は、数字に出ないちょっとした部分の重要性を理解している証と言っていいだろう。

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青木 崇
NBA専門誌「HOOP」の編集者からフリーのバスケットボールライターとなる。NBAファイナル、NCAAファイナル4、世界選手権などビッグイベントの取材や執筆活動を行なっている。

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