ついに日本も五輪フィギュア代表が勢ぞろいしましたが、フランスでも正式な五輪メンバーが発表されました。一方でスウェーデンやイタリアの「1枠」を巡る激しい戦いは、1月中旬にエストニアで開催されるヨーロッパ選手権へと持ち越されたようです……!

■フランス
五輪代表選手
男子:ジュベール、アモディオ(補欠ポンセロ)
ペア:ジェームス&ボヌール組(補欠カナック&コリア組)
アイスダンス:ドロベル&シェーンフェルダー組、ペシャラ&ブルザ組(補欠ブラン&ブーケ組)

フランス五輪委員会が掲げる目標は、ずばり、ジュベールの金メダルとドロベル&シェーンフェルダーの表彰台です。

■スウェーデン
五輪枠:男子1
スウェーデン国内選手権 2009年12月17日〜20日
男子 1位クリストファー・ベルントソン、2位アドリアン・シュルタイス、3位アレクサンダー・マヨロフ

「たった1つの五輪枠を巡ってベルントソンとシュルタイスが一騎打ち!」と世界中のファンの興味をそそったナショナルは、ベルントソンの勝利で終わりました。ただし五輪への戦いはまだ終わってはいません。27歳ベテランのベルントソンと21歳の若きシュルタイスが出場する欧州選手権終了後に、1人の選手に五輪への扉が開かれます。

初めての五輪出場を目指すシュルタイスは「五輪代表枠はボクのものだ。ベルントソンのことは大いに尊敬しているけど、彼に何も譲ったりはしない」と、欧州選手権での逆転を信じています。またスウェーデン五輪委員会はベルントソンに関して「五輪表彰台に上がる実力があるのだ、と見せ付けなければならない」と厳しい目で評価すると公言しました。アンオフィシャルな情報ですが、ベルントソンに関しては「五輪トップ8に入る可能性」がある場合に限って五輪代表に選ばれるだろうこと。一方でシュルタイスとマヨロフに関しては「五輪トップ20に入る可能性」があれば五輪代表……なのだそうです。

なぜベルントソンにだけ厳しい条件が課され、シュルタイスと18歳マヨロフはハードルが少し低めなのでしょうか?(スウェーデンメディアによれば、マヨロフ五輪行きのチャンスはまだ消えていないとのこと)それはスウェーデン五輪委員会が行っている「タレントプログラム」に関係しているようです。このシステムは4〜8年後の五輪メダル獲得の可能性を秘めた選手に、五輪委員会が人的・物理的・精神的援助を行うもの。現在フィギュアスケートではシュルタイスとマヨロフ、そして女子1人が恩恵を受けています。技術・振り付け指導、個人コーチを雇うための資金援助、合宿・遠征費用援助、メディカル&メンタルサポート、奨学金など多岐に渡り、今季だけで日本円にして1千万円以上の予算が3人のために組まれています。

つまりスウェーデン五輪委員会が言いたいのは「ベルントソンにバンクーバーのメダル獲得の可能性があるならば、ベルントソンを選ぶ。可能性がないならば、大金をかけて育成中の若いシュルタイスに大舞台の経験をつんでもらう。そして2014年ソチ大会での表彰台に乗ってもらいたい」ということなんでしょう。ただしスウェーデンのフィギュアスケート連盟会長はこう述べています。「五輪委員会の基準と、我々連盟が考えている基準は少々違うのです。とにかくユーロ選手権後に話し合いが必要になるでしょうね」と。

■イタリア
五輪枠:女子1、男子2、ペア1、アイスダンス2

イタリア国内選手権 2009年12月17日〜20日
女子 1位ヴァレンティーナ・マルケイ、2位カロリーナ・コストナー、3位アリス・ガルリージ
男子 1位サミュエル・コンテスティ、2位パオロ・バッキーニ、3位カレル・ゼレンカ

男子は昨欧州選手権2位のコンテスティが、危なげなく国内3連覇。国籍をフランス→イタリアに変えてまで追い求めてきた五輪への切符が、ほぼ間違いなく手に入りそうです。

悩みの種は女子でしょう……。不出場だった2007年を除けば国内4連覇中だったコストナーが、転倒のせいで2位に陥落してしまいました。欧州2回優勝、世界選表彰第2回とイタリアフィギュア界を代表する大スターの失敗。「クリスマス休暇をしっかりとって、また気持ちを切り替えてユーロに臨みたい」と22歳のコストナーは述べていますが、たった1つの五輪枠を獲得するために、欧州選手権では安定した好パフォーマンスを見せなければなりません。

コストナーより1つ年上で、そして常にコストナーのせいで日陰の存在気味だったマルケイにとっては、なによりも自分をアピール出来たことが喜びだったようです。「これまで誰も私に注目してくれなかった。でもこれで、コストナーだけがイタリアのフィギュア選手じゃないんだと証明することが出来たわ」と。昨季序盤に負傷し、長く辛いリハビリを行ってきたマルケイの、心の支えは「五輪出場の可能性」だったようです。実は4月にスケート連盟へ直接出向き、「すでに五輪代表はコストナーに決まってしまったのか?」と尋ねたとのこと。連盟の答えはノー。さらに「2009/10シーズンの成績で代表を決める」との回答を得て、マルケイのモチベーションは大いに上がったといいます。

イタリアスケート連盟も五輪委員会は、ヨーロッパ選手権終了後にバンクーバー五輪フィギュアスケート代表を発表する予定です。

■ロシア
五輪枠:女子2、男子2、ペア3、アイスダンス3

ロシア国内選手権 12月23日〜27日
男子 1位エフゲニー・プルシェンコ、2位セルゲイ・ヴォロノフ、3位アルチョム・ボロドゥリン

復活プルシェンコが合計271.59の世界最高得点で完全優勝を果たしましたね。2大会連続の五輪金メダルに近づいたでしょうか。12月27日現在、プルシェンコの五輪行きは未だ正式発表はされていません。ちなみにロシアスケート連盟が8月の時点で掲げたバンクーバー五輪の目標は……
・アイスダンスで金メダル
・ペアで表彰台
・男子・女子シングルスで上位6位以内
・プルシェンコが五輪に出場する場合は、1位〜3位

五輪ディフェンディングチャンピオンのプルシェンコへ、連盟からも大きな期待が寄せられているのは間違いないようです。

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宮本 あさか
みやもとあさか。パリ在住のスポーツライター・翻訳者。相撲、プロレス、サッカー、テニス、フィギュアスケート、アルペンスキーなど幼いときからのスポーツ好きが高じ、現在は自転車ロードレースの取材を中心に行っている。

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