Text by ウェイ・ション

オリンピック・シーズンの次の年は、引退もしくはしばらく競技活動を休むベテラン選手が多いので、いつも少し寂しく感じる。今年の全米も、元女王の長洲未来やアシュリー・ワグナーは休憩中、グレイシー・ゴールドとカレン・チェンも心身の休養のために大会を辞退したので、日本のフィギュアスケートのファンにとっておなじみの名前が確かに少ないかもしれない。

しかし、このような大会こそ、普段注目度がそれほど高くない実力派選手やアメリカ女子の未来を担う新人選手の活躍にぜひ目を向けていただきたい。なぜなら、「人種と文化の坩堝」と言われるアメリカだからこそ、女子選手の個性やプログラムも百華百彩と言えるのだ。

ブレイディ・テネル

ブレイディ・テネル選手

連覇を目指す ブレイディ・テネル
ディフェンディングチャンピオンであるテネルは、昨シーズンまで「飛躍の新人」という印象が強かったが、オリンピックと世界選手権の洗礼を経て今シーズンもいい演技を出し続け、世界のトップスケーターのステータスを確立したと言えよう。彼女の最大の武器は、やはり難易度の高い構成と、抜群の安定感だ。連覇がかかる今大会では、ノーミスを目指して、大技3ルッツ−3ループのコンビネーションジャンプをフリーのみに入れる予定だが、今までどおり完成度の高い演技ができれば、再び表彰台の頂点に登る予想だ。欲を言えば、ジャンプの前の繋ぎや着氷の質にもう少し工夫し、フリープログラムでジュリエットを演じる時ももっと感情を込めれば、きっとGOEや演技構成点がもっと高くもらえて、競争力がより一層高くなるであろう。もちろん、本人も向上心が高く、「全米に向けて練習の仕組みもプログラムも変わっていないが、精度を上げるために毎日の練習でとりあえず細かくやる。プログラムの細かいところまで一々やる。」と努力の姿勢を見せる。この細かく仕上げられた演技、全米でぜひ見たい。

マライア・ベル選手

マライア・ベル選手

アダムのように滑りたい マライア・ベル
「新しい4年の始まりなので、自分の限界に挑戦し、今までと違うプログラムと自分らしい振付を試したい」と今シーズンのプログラムについて話すマライア・ベル、この「今までと違う」ショートプログラムはなんと同じくラファエル・アルトゥニアンコーチの元で一緒に練習していたアダム・リッポンがセリーヌ・ディオンの曲を勧め、そして振り付けてくれたものだ。彼女によると、リッポンは手足の動きだけでなく、演技力についてもいろいろ教えた。「アダムは前から同じリンクで練習していたみんなのメンターだった。私は彼のスケーティングを学びたかった。そして彼は『毎回の試合で必ずしも競い合う気持ちではなく、アイスショーでパフォーマンスを披露するような気持ちで本番の試合に出ることが大事』と私に言った」とベルが振り返ったように、今シーズン彼女の演技中のリラックスした表情と笑顔が確かに印象的で、見ごたえが十分ある。

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