挑戦者である神戸製鋼は、FW陣が小刻みにパスをつないでディフェンスを崩し、カーターが自在に動けるスペースを作り出してきた。サントリーのディフェンスの前でも同じスタイルで戦うことができるのか。サントリーのスピーディーなアタックに翻弄される前に攻め勝ちたいところだ。対するサントリーは、準決勝でヤマハ発動機が徹底してボールをキープして攻めてきたことで苦戦した。神戸製鋼の攻撃力はヤマハ発動機以上だ。ボールを長い時間支配されれば苦しい。いかにボール保持時間、アタックの機会を多くできるかが勝利のカギだろう。80分を走り切るスタミナではサントリーに分があるように見える。最後まで試合がもつれ、3点差以内で終盤を迎えれば、カーターかギタウのドロップゴールによる決着もありそうだ。

攻撃の質の高いチーム同士の対決だけに、スクラムで優位に立ったチームが有利だ。スクラムで圧力をかけ、ディフェンスの出足を遅らせることができれば、攻めるスペースは広がる。また、反則を誘って、PKからのタッチキックでラインアウトからモールを組むチャンスも訪れるだろう。勝敗を分けるポイントはいくらでもあげられるが、正確なプレースキッカーがいるだけに自陣での反則は命取りになる。

個々の選手の対決も楽しみだ。神戸製鋼のSH日和佐篤は昨季までサントリーでプレーしていた。サントリーでは試合の終盤に流大キャプテンと交代で登場し、落ち着いたプレーでチームを勝利に導いてきた。プレー時間をもっと長くして日本代表復帰を目標に神戸製鋼に移籍しており、流とのマッチアップは楽しみだ。FW第一列は神戸製鋼が平島久照、有田隆平、山下裕史、サントリーが堀越康介、中村駿太、垣永真之介で、ジュニアジャパンの中村以外は日本代表キャップホルダーであり、どんな駆け引きを繰り広げるのか。

梶村祐介

日本代表入りしたばかりの梶村祐介

CTB対決も面白い。神戸製鋼のリチャード・バックマンはスーパーラグビーで活躍し、アダム・アシュリークーパーは、オーストラリア代表116キャップを誇る。サントリーは日本代表入りしたばかりの梶村祐介、攻守にハードにプレーする村田大志が相対する。神戸製鋼のトライゲッターであるWTB山下楽平、アンダーソン フレイザー、サントリーの尾崎晟也、成田秀平のスピードとランニングスキルの勝負も興味深い。どこを切り取っても楽しめるカードだ。

サントリーの沢木敬介監督は、「サントリーが自分たちのスタイル、やり方をどれだけ出せるか。そこにチャレンジしたい」とコメントし、神戸製鋼のディロン・ヘッドコーチは「1週、1週決勝だと思って戦ってきたので3回目の決勝を戦うつもり」と話した。

SOとして格違いのパフォーマンスを続けるダン・カーターは、準決勝でトヨタ自動車ヴェルブリッツに勝ったあとの会見で、「今年一番成長できたのは、自分ができると信じること=セルフ・ビリーブ。選手一人一人にセルフ・ビリーブがあり、お互いのためにプレーできているし、チームの一体感がある」と語った。セルフ・ビリーブは、サントリーにも備わっているものだろう。だからこそ、連覇を達成できたのだ。自分たちの力を信じ、冷静に実力を出し切れるのはどちらか。長く語り継がれる決勝戦が見たい。

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村上 晃一
ラグビージャーナリスト。京都府立鴨沂高校→大阪体育大学。現役時代のポジションは、CTB/FB。86年度、西日本学生代表として東西対抗に出場。87年4月ベースボール・マガジン社入社、ラグビーマガジン編集部に勤務。90年6月より97年2月まで同誌編集長。出版局を経て98年6月退社し、フリーランスの編集者、記者として活動。

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