早明戦

本当なら、その午後、師走2日の大一番は、熊谷ラグビー場でのトップリーグ、パナソニック ワイルドナイツ対トヨタ自動車ヴェルブリッツである。スポーツの「理」からしたら、それが正しい。もっとも高いカテゴリーのチャンピオンシップである「総合順位決定トーナメント」、ともに世界の大物を指導者に招き、潤沢な補強をこれでもかとためらわず、海外の実力選手をずらりと並べた。事実、迫力満々の大接戦は展開された。31−27。トヨタ、小さな点差の大勝利。

しかし、早明戦も、あえて書くなら、パナソニック−トヨタ戦のように、観客、視聴者をひきつけた。そこにはラグビーのおもしろさが、若者らしい、心の揺れをともないながら、存分に表現されていた。スコアはやはり31−27。こちらは早稲田がわずかに制した。

ラグビーは、競技のレベルを超越して、すなわち、ワールドカップのファイナルと同じように、ローカルな高校のライバルの3回戦での対戦がおもしろかったりする。身体の衝突があるので、なんというのか人間の根源、普遍が試される。そいつはスキル、腕力、体格、さらには円熟や経験すらもときに脇へよけるのだ。

本コラム筆者の今季のベスト試合のひとつは、関東大学リーグ3部の防衛大学−東京工業大学である。前日の横浜におけるブレディスローカップとそっくりの出来事が起きた。東工大は、限られた戦力をフルにいかし、創意工夫で自陣から長いゲイン、なのに、あと少しのところでミスが発生する。ワラビーズみたいだった。かたや、体の強い防衛大は、手数をかけずにトライを奪った。28−10。防衛大が守り切った。東工大はその後、戦力の厚い優勝校、駿河台大学にも23−31と健闘している。未見ながら、さぞやしびれる攻防だったろう。

94回目の早明戦。「22256」の観衆が埋める秩父宮ラグビー場。関東ローカルのそこまでどちらも1敗を喫した長き好敵手がぶつかると、スタジアムはもちろん、テレビの受像機の前の善良な人々も興奮したり感動した。そこから先の全国大学選手権に向けた順位争い(どちらも勝てば帝京と同時優勝。明治は敗れると4位相当)とは別に「いま、ここだけの戦い」にかける青春の姿は、息を吸うみたいに全身をボールや人に投げ出すコンタクト、こぼれ球とたちまち一体化してしまう反応に凝縮した。

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