ノムさんこと野村克也氏の息子で、当時は楽天の選手だった克則さんとは、阪神在籍時代のチームメイトでもある。以来、ずっと親しい交流が続いているという。克則さんは、楽天の打撃投手の話を持ちかけ、「うちの親父が(2006年から)監督やるから」と勧誘したのだという。

野村元監督は、部坂さんの恩師。プロ入りした時、ドラフト4位で指名したのも同氏だった。部坂さんは、「ドラフトで獲っていただいたし、野村監督の元でなら野球の勉強になるはず」と入団のテストを受けることを決意。晴れて合格し、打撃投手になった。

◆”恋女房”はウィーラー、今江、藤田。打つと「すごく嬉しい!」

それから、早や13年が経つ。私が楽天にいる部坂さんと挨拶を交わすようになってから4年目だが、いつ見ても部坂さんは穏やかな笑みを湛えて、楽しそうに仕事をしている。

ただ、現役にこだわって海を2度も渡ったほどなのに、裏方の仕事を最初から受け入れることはできたのか。初めは戸惑いや表舞台の選手を羨む気持ちもあったのではないか。

「確かに最初の頃は、ちょっとは見ていて『いいなあ』とか、自分も(表舞台で)投げたいなとは思いました。でも、だんだん年齢を重ねるとともに、もう無理なのはわかるので」。

そう言って、部坂さんはいつもの笑顔をのぞかせると、「今は、練習で投げている相手のバッターが試合で活躍するとすごく嬉しいし、チームが勝つことが何よりの喜びなんです」と、やりがいを隠しきれない様子で語るのだ。

かつては、チームの主砲だった山武司氏の“恋女房”でもあった。部坂さんを指名して、全試合の前に来る日も来る日も、相当の練習を重ねたという。今は、ウィーラーはじめ、今江年晶、藤田一也といったベテランから”ご指名”を受ける。

そうやって一緒に練習をした選手が活躍すれば誰よりも喜ぶが、逆に不振やケガに苛んだ時には「本当に悲しいし、ショックを受けます」と顔を曇らせる。

選手たちが輝くことを心から願う部坂さんは、「まだまだ限界まで投げていきたい」と爽やかに笑った。

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松山 ようこ
フリーランス翻訳者・ライター。スポーツやエンターテイメント関連コンテンツの字幕翻訳をはじめ、Webコンテンツ、関連ニュース、企業資料などの翻訳や制作を請け負う。J SPORTSでは、主にMLBや侍ジャパンのほか、2015シーズンより楽天イーグルスを取材し、コラムやインタビュー記事を担当。野球の他にも、幅広くスポーツ選手はじめ著名人を取材。ツイッターyokobooboo

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