違う言い方をすれば、大谷の肘は「手術が必要になる一歩手前」だったのだ。

それでも「若いから手術をした方がいい」という意見もあるだろうし、大谷と同じ処置をして復帰した田中将大投手のように「手術せずに復帰できる道を選んだ方がいい」という声もあるだろう。もしかしたら大谷自身は「無理をしたら投げられる」と思ったかも知れないが、手術を「最終手段」と考えるならば、今回のDL入り=安静は正しい判断だと思う。

いつだったか、肩、肘を傷めながらも41歳(メジャー歴19年)まで現役を続けた元レッドソックスのルイ・ティアントが「昔は肘が痛くても“だましだまし”投げていたものさ」と言っていたのを思い出す。

ティアントが引退したのは1982年であり、当時はトミー・ジョン手術(最初に行われたのは1974年だった)が球界に広まる前だったし、PRPという「手術回避」の治療法も球界にはまだ伝わってなかった時代だ。彼の時代から40年以上を経て医学が進歩し、彼が現役時代にした“だまし、だまし”の部分を医療的に処置できるのならば、大谷をはじめとする「肘に問題を抱える投手」にとっては朗報である。

大谷のDL入りは、日本で早朝からテレビをはじめとする各メディアを通じて応援していた人々にとっては残念なニュースだが、ここはぐっと堪えてメジャー屈指の逸材の回復を祈っていて欲しいと思う。

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ナガオ勝司
1965年京都生まれ。東京、長野、アメリカ合衆国アイオワ州、ロードアイランド州を経て、2005年よりイリノイ州に在住。訳書に米球界ステロイド暴露本「禁断の肉体改造」(ホゼ・カンセコ著 ベースボールマガジン社刊)がある。「BBWAA(全米野球記者協会)」会員

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