その年から岡崎慎司(レスター)もマインツに移籍。シーズン15ゴールを挙げ、ブンデスリーガ1部・7位浮上の原動力になったのだが、GKカリウスの存在も非常に重要だった。彼がいなければ守りの安定感は得られなかったはずだ。 岡崎が去った2015年夏には武藤嘉紀が加入。同シーズンのマインツは6位躍進を果たしたが、それもカリウスやヨハネス・ガイス(セビージャ)、ユヌス・マリ(ヴォルフスブルク)ら若いタレントが輝いていたことが大きかった。カリウスと武藤の間にもお互いにリスペクトがあり、いい関係を築いていたのは確かだろう。

こうした実績を引っ提げ、クロップ監督率いるリヴァプールに赴き、2年がかりでUCLファイナルという高い領域に上り詰めた。夢に見た大舞台で今回はまさかの屈辱を味わうことになったが、彼はまだ若く、伸びしろがある。「GKは理不尽な役割。練習で100本止めても、試合で1つのミスを犯したら、それだけで批判される。それでも試合で完封できた時の達成感は凄まじいものがある」と川島永嗣(メス)も話していたが、そういう境地を目指して、このレアル戦のミスを糧にするしかないのだ。

長く育成畑で働いてきたクロップ監督もそういう方向へとカリウスを導いてくれるはず。リヴァプールで高度な経験値を積み上げていけば、いずれはドイツ代表入りも可能だろう。マヌエル・ノイヤー(バイエルン)、マルク・アンドレ・テア・シュテーゲン(バルセロナ)などドイツのGK陣はいずれも世界最高クラスだが、そこに割って入るべく、来季以降のカリウスには奮起を求めたい。ここからが本当の勝負である。

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元川 悦子
もとかわえつこ1967年、長野県生まれ。夕刊紙記者などを経て、94年からフリーのサッカーライターに。Jリーグ、日本代表から海外まで幅広くフォロー。ワールドカップは94年アメリカ大会から4回連続で現地取材した。中村俊輔らシドニー世代も10年以上見続けている。そして最近は「日本代表ウォッチャー」として練習から試合まで欠かさず取材している。著書に「U-22」(小学館)「初めてでも楽しめる欧州サッカーの旅」(NHK出版)ほか。

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