2018年IJFワールドツアー第5戦、グランドスラム・エカテリンブルグ大会がいよいよ今週末に迫った。17日と18日の両日にロシアで開催されるこの大会の様子はJSPORTSで生中継される。

ツアーきっての巨大イベントである2月の2大会に比べると参加人数こそ減ったが、上位陣の陣容はやはり重厚。そして世界王者に新進気鋭の若手と役者が揃った今大会、男子の話題の中心になるのは、間違いなく日本勢。そのエントリー7名の中から特に注目すべき選手として阿部一二三、海老沼匡、藤原崇太郎と3名の名前を挙げておきたい。


ブダベスト世界選手権金メダリスト阿部一二三。既に今夏行われるバクー世界選 手権の日本代表の座を確定している。

66kg級の阿部は昨年のブダベスト世界選手権を制した現役王者。抜群のパワーと凄まじいばかりの投げの威力、そして「相手に背中を着かせる」決めの技術の高さをエンジンに国際舞台でも「一本」を量産。前襟、奥襟、背中、あるいは両袖とその投げの作りは形を選ばず、止めどころの見つからない阿部の投げをもっかライバルたちは傍観するしかない状況。
その強さは「無人の野を行く」域に入りつつある。世界選手権に続いてグランドスラム東京大会を制した阿部は既に今夏のバクー世界選手権日本代表の座を手にしており、本来であれば出場義務のない今大会は試合勘の保持や技術的なテストをにらんだ「志願出場」である。1月の欧州単独武者修行を経た阿部が技術的に、また精神的にどのような新境地を見せてくれるのか注目である。

世界選手権で3度優勝、リオデジャネイロ五輪でも銅メダルに輝いた海老沼は、73kg級に階級を上げてこれが初めての国際大会。11月の講道館杯では3位に入賞、惜しくもグランドスラム東京出場メンバーからは漏れて代表レースに加わることは出来なかったが、同大会では投げの威力の高さと「一本」への執着、他を圧する闘争心と66kg級時代の特徴を遺憾なく発揮していた。年明けから「楽しみ」「これに掛けるしかない」とこのエカテリンブルグ大会への強い思いを度々口にしており、その出来が非常に楽しみ。海外勢の強者たちを相手に「やれる」となれば今後の73kg級勢力図に与える影響は大、大注目である。

藤原崇太郎は今シリーズの世界的な主役の一。11月の講道館杯で3位以内に入れずグランドスラム東京でも予選ラウンド敗退、国内の序列では2番手グループに後退しつつあったが、2月のグランドスラム・パリ大会でなんと優勝。一気に世界の熱い視線を浴びることとなった。絶対的な軸である永瀬貴規が不在となった81kg級は大会ごとに上位の顔ぶれがほぼ丸ごと入れ替わり続け、ツアー史上稀に見る大混戦期にある。藤原のいきなりの台頭もその現象の一局面として捉えられていることは間違いないが、ここで2大会連続優勝となれば国際的な強豪としての地位確立は間違いない。
なにより、国際大会で結果を残している日本選手がほぼ皆無というこの状況にあっては、もし今大会も勝利となればその時点でバクー世界選手権の代表選出はほぼ確定のはず。中学、高校、ジュニアとすべて日本一の座を獲得してきた21歳のエリートに訪れた、柔道人生の一大分岐点である。

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