竹内涼真が「国民の彼氏」なら、中村奨成は「広島の息子」だと言わせてもらいたい。

「中村くん頑張って!」
「中村選手、こっち向いてー!」

寡黙そうなお父さん達が、まるで自分の息子の運動会ばりに、その声を発せずにはいられない状態になっていたのを聞き逃さなかった。

ドラフト前からカープを匂わす「厳しく指導してくれる球団がいい」と言い、ドラフト指名後は「カープファンだ」と断言。入る前からカープファンのお父さん、お母さんの心をがっちり掴んでいた。

甲子園をわかせた広陵高校時代、先輩であるジャイアンツの小林誠司選手に憧れていると言い、「小林二世」のあだ名がついたかと思えば、カープに入団してからは、坂倉将吾の名前を出した。

そもそも、屋内総合練習場・大野寮がある大野市出身というところからすでに、「広島の息子」要素は十分すぎる。

個人的は彼の髪型が気になっていた。どんなに真面目そうな高校生も、プロ野球選手になれば変わる。前髪を流してみたり、サイドを刈り上げてみたり、パンチパーマをあててみたり…。

高校生活を終え、「奨成フィーバー」に突入し、髪が伸びてきた姿をお見かけした1月末は不安でいっぱいだった。おしゃれしったっていい、どんなヘアスタイルだって構わない、茶髪が悪いなんて思ってもいない。頭ではわかっているのに。

ただ、いい意味で期待を裏切ってくれたその時、初めて親心というものに気づかされてしまったのだった。「ホームユニもビジターユニも似合わないですね」と照れる丸坊主姿に、ホッとした。

「奨成フィーバー」は、集客力やニュースの多さだけでなく、こんなシーンでもあらわれていた。

テレビ・記者・ファンから囲まれているのは、はるばる徳島から来ていた健大君(6歳)だ。練習を終えた選手達がバスに乗り込む際、「Shosei」のサインをゲットした。22番の真っ赤な手作りボードが勝因だ。

選手の姿が見えなくなるやいなや、みんなの注目は健大君へ向けられた。お母さんにくっつきながらも多くのインタビューを受け、ファンから撮影を求められることに。

“中村のサインを持っている”それだけで、一瞬にしてスターへと変身した。健大君は甲子園で活躍する中村君に憧れて野球を始めたという。

「ケンタ」は、マエケンからインスピレーションを受けた名前。産まれる前からカープファンの彼だが、憧れの高校球児がカープに加入することで益々その気持ちが増したという。子供心もがっちり掴んでいた。

お知らせ

スカパー!×J SPORTS J SPORTS オンラインショップ