ゲレーロの取材はモントリオール・エクスポズにいた頃、チームメイトだった大家友和投手(現DeNA横浜二軍投手コーチ)が勝手に「ゲロさん」と呼んでいたので、気軽に話しかけたが……付け焼刃のスペイン語ではうまくいかなかった。そう、彼は今回の殿堂入りに際してもそうなのだが、ずっと通訳付きでメディア対応をする数少ない一人である。

「ストライクゾーンってのは審判が決めることで、自分が打てる球を打つのが自分の仕事だから」

球界一の「悪球打ち」について尋ねると、彼は通訳を通じてそう言った。

「要は前に強い打球さえ飛ばすことができればいいんだ。そしたらヒットになる確率は高くなるし、本当にいい当たりなら本塁打になる。あまり深く考えてないよ」

正直、言って「お手上げ」だった。言葉が通じないからではなく、打撃の真髄を聞きに行って、そう言っては元も子もないような究極の答えを聞かされたからだ。

チッパーやトーミー、ホフマンは「いつか殿堂入るするんだろうな」と思っていたが、「ゲロさん」については、当時まだ彼が若かったせいもあって、そんな雰囲気がなかった。ただし、本人の名誉のために書いておくと、その超人的なプレーぶりに驚かされたのは、当時「現役最高の5ツール・プレイヤー」と呼ばれたゲレーロだけである。

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ナガオ勝司
1965年京都生まれ。東京、長野、アメリカ合衆国アイオワ州、ロードアイランド州を経て、2005年よりイリノイ州に在住。訳書に米球界ステロイド暴露本「禁断の肉体改造」(ホゼ・カンセコ著 ベースボールマガジン社刊)がある。「BBWAA(全米野球記者協会)」会員

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