明治の初めの日本人が社会制度や科学用語を漢字語に置き換えてくれたことは、その後の日本の歴史にとって大きな財産となった。こういう膨大な漢字語があるから日本人は母国語で高等教育を受けることができたのだ。「だから、外国語ができなくなった」という弊害はあるが、それよりも母国語で難しい概念を操作できるメリットは大きい。日本の科学が発展したのは、そのおかげだとも言われている。

で、何が言いたいのかというと、最近、日本のサッカー用語にはあまりにもカタカナ語が増えすぎているのではないかということだ。 この頃、サッカー界に流行っているカタカナの新語としては、たとえば「トランジション」とか、「デュエル」、「リフレクション」などがある。何も、仰々しくカタカナ語を使って粋がるよりも、「切り替え」とか「1対1」という日本語を使えばいい、いや、日本語で表現できることは日本語で語った方が、理解が深まるのではないだろうか?

解説者が「ブロックを作って守っている」などと言うことが多いが、実際にはブロック(=守備の組織)など作られておらず、単にベタ引きで守っているだけのことをこういう言い方で表すことも多い。新奇なカタカナ語を使うことで、本当の意味を理解しないままで議論が進んでしまうという危険が多いのではないだろうか。 中国に行って、中国のサッカー用語を見ながら、そんなことを考えたのである。

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後藤 健生
1952年東京生まれ。慶應義塾大学大学院博士課程修了(国際政治)。64年の東京五輪以来、サッカー観戦を続け、「テレビでCLを見るよりも、大学リーグ生観戦」をモットーに観戦試合数は3700を超えた(もちろん、CL生観戦が第一希望だが!)。74年西ドイツ大会以来、ワールドカップはすべて現地観戦。2007年より関西大学客員教授

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