10月3日、とても寂しいニュースが飛び込んで来ました。梵英心選手のカープ退団が球団から発表されたのです。

球団は、梵選手の出場機会を求める強い意向を尊重し、自由契約という形で、他球団での新たなるチャレンジを了承することになりました。

カープの低迷期、あのもがき苦しんだ、苦難の時代を支え闘い続けたカープの12年間。声を枯らして声援した梵選手には沢山の思い出があります。

日産自動車から、地元広島県三次市出身の期待の遊撃手としてカープに入団。牛若丸ともいえたスピード感溢れる躍動で、新人王に輝いた2006年のルーキーイヤー。

シーズン終盤の9月に試合前練習でのノックが右目を直撃して登録抹消も10月に執念で復帰。

右目がまだ真っ赤な状態にもかかわらず試合に出続け、打ち出の小槌のように打ちまくったあのド根性の活躍は、まさにカープ魂、鯉の申し子でした。

まだまだ、カープに確固たる二遊間、キーストーンコンビが確立されていない時代。それだけに梵選手のショートと、東出輝裕選手(現一軍打撃コーチ)のセカンドでのコンビには大きな期待が寄せられていました。

当時のマーティー・ブラウン監督から、東出選手とのコンビネーションをツーカーにするために、寝るのも一緒にしなさいみたいな指示が出ていたことが懐かしく思い出されます。

梵選手特有の2ストライクに追い込まれてから、ファウルでネバネバと粘る相手が嫌がる打撃。そして、パンチショットでの先頭打者ホームラン。小柄で俊敏軽快、カープらしい遊撃手で、機動力野球の復活が楽しみでした。

しかし、両膝の怪我が、梵選手から出場機会を次第に奪って行きました。

それでも、初のCS(クライマックス・シリーズ)出場だった2013年10月13日の甲子園、勝てばファイナル進出の1stステージ2戦目の7回表。2-1で1点リードも、追加点が喉から出るほど欲しかった展開で、梵選手に巡ってきた1死2塁の絶好機。

梵選手は、安藤投手の初球スライダーをものの見事に捉えると、逆方向に打ってライト線に突き刺さるタイムリー3ベースヒット。

いつもは冷静な梵選手が3塁ベース上で、思わず右手を突き上げたあの力強い魂のガッツポーズは今でも忘れられません。

今季は、一軍に一度も昇格することが出来ず、胴上げの輪に加わることは叶いませんでしたが、闘い続けた二軍で26年ぶりの優勝に大きく貢献しました。

カープ最後のユニフォームとなった9月28日の甲子園でのウエスタン戦では、ライトへの鋭い打球のタイムリーヒットを打ち、前日の試合では盗塁も決めて、まだまだ衰えてはいません。

10月11日に37歳を迎えるベテラン梵英心の、新たなる挑戦がいま始まったのです。

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