シーズン終盤戦を迎える今年のSUPER GT。タイ戦を前にポイントランキングでトップに立ったのは、No.23 MOTUL AUTECH GT-R(松田次生/ロニー・クインタレッリ組)。シーズン序盤の厳しい戦いをしのぎ、タイ、もてぎと最終決戦に向けて闘志を燃やす松田次生選手に訊く。

松田次生

――第6戦鈴鹿を終え、ランキングトップに立ちました。今の気持ちは?

松田:
開幕前の状況からシーズン序盤のことを考えたら、正直この状況は想像もつかなかったです。まさか自分たちがランキングトップだなんて。結果的には、苦しいときにもあきらめずポイントをしっかりと獲ってこれたというのが大きかったと思います。

――開幕戦から第6戦鈴鹿全戦でポイントを獲得しています。

松田:
僕たちにできることって、それしかできなかったんです(笑)。もちろん簡単にできることでもないですが、ロニー(クインタレッリ)やチームが、今ある現状の中でどうするかってことを一緒に考えてくれて。だからこそ、ドライバーとして最善の結果を出さなきゃいけないと、しっかり考えてきました。正直、今シーズンの鈴鹿までのレースを振り返っても、こんなにパーフェクトな走りやレースができたというのはないかもしれません。多分、チャンピオンを獲ってきたこれまでのシーズンを含めて考えてもね。今年は、その都度変わる条件の中で、より確実な結果を求めていきました。それができたからこそ、ランキングトップに立ったのだと思っています。僕だけでなく、チームにとってもすごく自信になっています。(鈴鹿)1000kmでも一回奈落の底に落とされてから(※1)、2位になることができたし。本音を言うとあそこでペナルティがなければ勝てたとも思うんですが、一方で、いくら調子が良くてもクラッシュやバーストがあって結果が残せないチームとかもあるわけで。それを考えると、僕たちは恵まれていると思います。苦しみながらもしっかりと戦ってこれているので、今はチャンピオンうんぬんよりも、今までどおり一戦一戦をしっかり戦っていかないと。今、僕らは100%の力で戦わないと上位に行けないし、ライバルにも勝てないわけですから。

(※1)3位走行中、ピットアウトファストレーン優先権違反となり、ドライブスルーペナルティを科せられた。

――ペナルティ後、ロニー選手とともに見事な奮闘ぶりでした。

松田次生

松田:
あのあと、ロニーと僕は火が付いたんです。120%の走りをしてがんばれたのが良かったんだと思います。彼とのコンビネーションによる相乗効果、コンビならではのパワーがあるんです。すごくプラス作用に働いているし、互いの信頼関係も築くことができています。普段、クルマを作る作業では担当がそれぞれ分かれているんですが、例えばタイヤはロニーの担当です。ミシュランとの関係も長いし、経験も豊富なので。一方、セッティングに関しては僕がセットアップ好きということで、任せてもらってます。互いの役割分担がすごくうまく行ってます。

――レース後、「優勝せずにシリーズチャンピオンを狙う」というコメントがありましたが、あれは本音ですか?

松田:
いやいや、もちろん本当は勝ちたいですよ(笑)。でもやっぱり現状を見れば、レクサスやホンダといったライバル勢もクルマが良くなってきているし、伸び代もある。じゃあ自分たちは何ができるかって考えると、いつも最善の結果を残すしかないんです。当然、毎戦勝ちにこだわっています。けれど、それだけを意識しすぎるとあまりいいことがないので。一方、2007年に(フォーミュラ・ニッポンで)チャンピオンを獲ったときは、本当に苦しい中でも諦めずに最後まできちっとポイントを獲り続けた結果として、ああいう展開が生まれた(※2)わけで。同じように、今年のSUEPR GTではもうクルマの開発ができないし、今あるものを使って戦わないといけないのだから、一戦一戦を大事にしないといけないなと思っているんです。

(※2)全日本選手権フォーミュラ・ニッポンにおいて、未勝利ながら自身初となるシリーズチャンピオンを獲得している。

――ランキングトップとして、どのようにタイ戦に挑みますか?

松田:
もうここまで来たらあまり考えず、ポイントをしっかり獲っていくのみです。そして最終戦で(タイトル獲得を)決められるような態勢をとりたいと思っています。現状はうちだけ燃リスが入って(※3)、ウェイトも相当重い。去年よりはマシなんですが今年も僕らだけ重いので、まずはきちんと結果を残していくことが大事になるでしょう。これまで連続ポイントを獲っているので、大量でなくてもいいからタイでも着実にポイントを獲りたいです。しぶとく生き残ること、まさにひとつも落とせない戦いになりますね。

(※3):第6戦終了時点で23号車のウェイトハンディは59kg。競技規則によって、搭載ウェイト軽減の代わりに燃料流量リストリクターが1ランク小さくなる。

――今年ならではのレースの難しさというものはありますか?

松田次生

松田:
やっぱり一番は、開幕戦からのレクサス勢の異様なほどの調子良さ。もう、モンスターみたいなクルマを作ってきたわけですからね。それが僕らにとって、一番の脅威になりました。それからホンダもレス・ダウンフォース仕様のクルマになって以来、クルマの作り込みとエンジンがすごく速くなっているのを感じます。そんなわけで、今年は今まで以上にライバルが増えているんです!

――ところで、松田選手は個人的にも熱烈なGT-Rファンとのこと。いちファンとして見るSUPER GTでのGT−Rとは?

松田:
GT-Rって、スカイラインGT-Rとしてプリンス自動車の時代からずーっと日本のレースで戦ってきているクルマなんです。勝ち星も50勝を超えているわけでしょう? すごい記録を打ち立ててきた歴史があるんです。昔のレースから今に至るまで長い歴史を持ち、しかも強いというイメージがあってカッコいいじゃないですか。それが魅力だと思いますね。実は17年モデルのオーナーでもあるので、その17年モデルのレーシングカーを僕自身の手でチャンピオンへと導くことができれば、こんなうれしいことはないと思っているんです。レーシングドライバーとして乗れることに喜びを感じていますし、いちオーナーとしてもすごく大事に思っていることでもあるし、このような形で関われることに心から幸せを感じています!

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島村 元子
日本モータースポーツ記者会所属、大阪府出身。モータースポーツとの出会いはオートバイレース。大学在籍中に自動車関係の広告代理店でアルバイトを始め、サンデーレースを取材したのが原点となり次第に活動の場を広げる。現在はSUPER GT、スーパーフォーミュラを中心に、ル・マン24時間レースでも現地取材を行う。

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