そのサンウルブズは、7月15日の最終戦でNZのブルーズから昨年を上回る2勝目をあげ、2勝13敗の勝ち点「12」で18チーム中17位。最下位を免れ、なんとか面目を保った。今年は日本代表との連携を密にし、多くの選手に高いレベルを経験させる方針をとったため、約60名という選手がサンウルブズでプレーした。シーズン序盤はWTB江見翔太中鶴隆彰らが活躍し、HO庭井祐輔、FL松橋周平が試合を重ねるごとに力をつけるなど、前向きな話題が多かった。スクラム、ラインアウトのセットプレーも改善され、第7節で南アフリカのブルズに21−20で勝利するなど、たくさんの収穫があった。

サンウルブズ

サンウルブズの今シーズンは昨年を上回る2勝を上げた

一方で、チームとしての熟成はできず、組織ディフェンスが破たんして大量失点する試合も多かった。試合内容は試行錯誤の連続。シーズン当初はキック多用の戦法が目立ったが、NZ遠征初戦でクルセイダーズ戦に50−3で大敗すると、次第にボールをキープして攻めるようになり、チーフス相手には健闘(20−27)。しかし、負傷者が多く出たこともあって、第11節のジャガーズに39−46で敗れて以降は大敗が続いた。日本代表のテストマッチシリーズのため、約1か月ぶりの試合となった7月2日のライオンズ戦では、7−94という屈辱的な大量失点。ファンを大いに失望させた。ブルーズ戦の勝利がなければ、多くのファンを失うことになっただろう。ブルーズ戦勝利後、田邉淳コーチが「日本代表の戦い方にも参考になると思う」と話した通り、この試合で披露された、キックとボールキープのバランスの良さが今後の鍵になりそうだ。

昨年のサンウルブズは、秩父宮ラグビー場5試合の平均観客数が1万7000人を超えた。当然、負け続ければ観客は減る。今年の秩父宮ラグビー場での観客数も微減していった。2月25日・ハリケーンズ戦=17,533人、4月8日・ブルズ戦=12,940人、5月27日・チーターズ戦=12,898人、7月15日・ブルーズ戦=12,543人。平均観客巣は昨年を下回ったが、微減にとどまったのは、サンウルブズへの期待感の表れだし、日本ラグビーの変化を多くのファンが求めているからに他ならない。最終戦の勝利は、そんな観客の皆さんを喜ばせようと選手が意地を見せた結果だった。来季はさらにたくさんの勝利を観客の皆さんに見せてもらいたい。

サンウルブズのスーパーラグビー参戦は、2019年のラグビーワールドカップ(RWC)で飛躍を期す日本代表強化が大きな目的だが、世界最高峰のリーグで日本代表選手の予備軍を試し続けるのは無理がある。2018年シーズンは、RWCの日本代表を軸にしたメンバーになりそうだが、そこに世界のビッグネームを加えるなど、プロチームとして魅力ある運営にも踏み出してもらいたい。また、トップリーグ、サンウルブズ、日本代表と3つのカテゴリーを一人の選手がプレーし続けるのも負担が大きい。2019年に向かってはサンウルブズと日本代表に専念する選手を作るのも一つの方法だ。サンウルブズが世界的な人気チームになり、このリーグで戦い続けることが、スーパーラグビーという舞台を多くの日本選手に経験させることにつながるのだから。日本代表強化の視点では、日本代表のリーチ マイケル(チーフス)、アマナキ・レレイ・マフィ(レベルズ)、ツイ ヘンドリック(レッズ)が各チームの中心選手として活躍してくれたのも頼もしかった。来季の契約選手はまだ決まっていないが、リーチは日本国内でのプレーを表明しており、サンウルブズに加われば頼もしい存在になる。また、将来日本代表になる資格のあるLOサム・ワイクス、NO8ヴィリー・ブリッツらがサンウルブズの軸として熱いプレーをしてくれたことも好材料だ。多くのファンから愛されるチームへ。サンウルブズの前向きな変化を期待したい。

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村上 晃一
ラグビージャーナリスト。京都府立鴨沂高校→大阪体育大学。現役時代のポジションは、CTB/FB。86年度、西日本学生代表として東西対抗に出場。87年4月ベースボール・マガジン社入社、ラグビーマガジン編集部に勤務。90年6月より97年2月まで同誌編集長。出版局を経て98年6月退社し、フリーランスの編集者、記者として活動。

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