さすがにこれには警察が出動。高速道路を疾走するグアルディーニ見たさに、どこからともなくファンが路肩に乗り込む。高速道路は一時通行止めとなり、ルーベへ向かうファンで大渋滞に。しびれを切らした某チームの関係車両が路肩を大暴走するほどに発展したこの事態、グアルディーニ本人はお咎めなしどころか、ジャージをプレゼントして警察官に喜ばれているのだから、改めてパリ〜ルーベの偉大さを思い知らされる。

話をボーネンに戻そう。ルーベのヴェロドロームに設けられたオーロラビジョンでは、レースの行方が映し出されていた。レース後半、追走グループを走るボーネンが移るやいなや、観客席から大歓声。パリ〜ルーベはフランスが舞台ではあるものの、ベルギー国境が近いこともあり同国から大勢のファンが駆け付ける。有料の観客席に無数になびくベルギー国旗。この日ばかりは、ベルギー人のためのレースだった。

大観衆がトム・ボーネンの登場を待つ

大観衆がトム・ボーネンの登場を待つ

ただ、同じベルギー人でも、その後優勝を決めるグレッグ・ヴァンアーヴェルマートではないのだ。彼らの目的はボーネンなのだ。残り数キロで、ボーネンの先頭合流が難しいとみるや、その応援はチームメートのチェコ人、ズデニャック・シュティバルに向いた。彼らが所属するクイックステップフロアーズの勝利はボーネンの勝利。何が何でも、ボーネンと勝利を結び付けなければならないのだ。結果的にそれはかなわぬ願いとなるのだが。

【関連コラム】トム・ボーネン、人生最後のパリ〜ルーベへ text by 宮本あさか

13位でフィニッシュしたボーネンは、観衆の声援を受けながら、たくさんの思い出を作ったヴェロドロームを去った。派手なお別れセレモニーをやるわけでもなく、感傷に浸るでもなく。ただただ、これまでのレースと同様に振る舞った。

ヴェロドロームの有料観客席はオーロラビジョンの映像に一喜一憂

ヴェロドロームの有料観客席はオーロラビジョンの映像に一喜一憂

長年にわたりこのレースの主役を務めた1人のベルギー人ライダーがキャリアを終え、入れ替わるかのように新しいチャンピオンが生まれた今大会。また新たな歴史が刻まれた。“地獄”と称されるルーベの石畳を乗り越えた先にある“天国”。それを己の目で確かめるため、選手たちはタイムアウトになろうとフィニッシュラインを目指すし、ファンは見届ける。257kmを走破してこその、“天国”の美しさなのだ。

石畳を乗り越えた先にある“天国”を目指し走る選手たち。それを多くのファンが見届ける

石畳を乗り越えた先にある“天国”を目指し走る選手たち。それを多くのファンが見届ける



そして、その天国の美しさは115回の歴史が築き上げたものであることをわれわれは実感したのだった。

フィニッシュゲートが“天国”と“地獄”を分ける

フィニッシュゲートが“天国”と“地獄”を分ける


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福光 俊介
ふくみつしゅんすけ。サイクルライター、コラムニスト。幼少期に目にしたサイクルロードレースに魅せられ、2012年から執筆を開始。ロードのほか、シクロクロス、トラック、MTB、競輪など国内外のレースを幅広く取材する。ブログ「suke's cycling world」では、世界各国のレースやイベントを独自の視点で解説・分析を行う

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