過密日程とバス移動でヘトヘト、海外ショースケーター事情

――お話をお聞きしていると、柴田選手は、海外でのアイスショー出演の経験が現在に大きく影響されているように窺えます。プロスケーターとして活躍されていた、海外のアイスショーでの日々について、少し教えて頂けますか。

柴田:僕が出演していたショーのうち、『Holiday on Ice』に関しては、期間は短くて4ヶ月から長くて7ヶ月ぐらいです。オランダでリハーサルがあり、ドイツを中心に欧州各国を巡ります。1週間ごとに街が変わり、荷物を持ってバスで移動というのが基本です。そのバス移動も長い時では13時間になります。

高橋:すごいですよね。

柴田:『Holiday on Ice』のイギリス公演に行った時は、ドイツからフランスに行って、フランスの港から船に乗って、どこかの街で1泊してという感じだったので、20何時間かかって移動しました。移動で皆疲れちゃうんです。ショー自体も多い日で1日3回公演で、多い時は「6パック」って言って、3回公演が2日続きます。その後は皆、「うわー」って感じで(笑)

――移動だけでなく、公演も過酷ですね……!

柴田:その間の生活もホテル住まいになって、部屋も2人でシェアします。ホテルに朝食はついているんですけど、それ以外の食事は外食になっちゃったりとか。でも、皆仲良くて家族みたいな感じになります。

――演目にも、海外ならではのものがあるのでしょうか。

柴田:個人のプログラム以外に群舞もあり、そこで学んだことが多かったです。いろんなジャンルの音楽で滑らないといけないので。ワルツ、ヒップホップ、クラブミュージック、クラシック、サンバだったり。「出来ない」とか言ってられないんです、やらないとクビになっちゃうので(笑)
各公演後には“correction(修正)”と言って、「ここがダメだった」とか「ここが良かった」とか評価を受けます。「つま先が汚い」とかそういうことまで逐一言われます。僕は元々笑顔で滑るのが苦手だったんですけど、公演をやってきて、笑顔で滑ることに慣れました(笑)

高橋:今は常に笑顔で(笑)

――そのプロスケーターとしての経験から得られたのはどんなことでしょうか。

柴田:ショーには毎回お客さんがいらっしゃって、そのお客さんのために滑ります。競技者としてやっていた時は、『自分の技をどれだけ決めるか』という意識の方が頭の中で強かったんですけど、ショーでは、もう技とかよりも『どれだけ表現をしてお客さんに伝えるか』というのがメインなので、そこでショーマンシップを学んだと思います。

出会うべくして出会った「チーム・シカゴ」

ブルーベイカーコーチ、高橋成美選手、柴田嶺選手、ベルトンコーチ @ Fox Valley Ice Arena

ブルーベイカーコーチ、高橋成美選手、柴田嶺選手、ベルトンコーチ @ Fox Valley Ice Arena

――高橋選手は、ペア結成前にはどのような練習をされていましたか。

高橋:1人でやっていたのは、パートナーがいなくても『自分のスキルを高めること』。個人として上手くなるようにという練習をしていました。スケーティングスキルであったり、ジャンプやスピンであったり。バレエもその期間一生懸命やりました。あとは、パートナーはいないんですけど、バレエのバーを使ってリフトのポジションやデススパイラルのポジションを練習したりもしました。

――あの細いものに乗られていたのですね!それでは、リフトのポジションがさらに美しくなっていますね。

高橋:はい!そうなれるようにがんばりました。

――今シカゴを練習拠点にされていますが、高橋選手がシカゴを選ばれた経緯についてお教え下さい。

高橋:昨季、ロシア人のアレクサンドル・ザボエフ選手と短期間なんですけど組んでいて、その時からこちらで練習していました。元々試合でずっと一緒だったイタリアのステファニア・ベルトン(ベルトン/ホタレック組)が、今は私達のコーチなんですけど、彼女とすごく仲が良くて。NHK杯でも常に一緒に出ていましたし、世界選手権でも同じグループで滑ったりとか、本当に昔から彼女の滑りを見ていました。いつも心の底から踊っていて。ロックニー・ブルーベイカーもアメリカのペアスケーターなんですけど、すごい選手だなと思っていたその2人が結婚して、一緒にこちらのリンク(Fox Valley Ice Arena)でコーチングを始めたので、そこに弟子入りをしたような感じです。

――続々と、有力選手がベルトン/ブルーベイカー夫妻の下に集まり始めているようですね。

高橋:そうなんです。2人共すごい熱意のあるコーチで、技術的にも本当に素晴らしくて。年齢的にも若いコーチなので、実技での指導も受けられますし、タブレットを使った映像解析も取り入れています。だから皆集まって来て、そのチームメイトと一緒に滑っていても刺激になるし、お手本にしたり相談し合ったりして、すごく良い環境です。

柴田:ちなみになんですけど、僕もステファニアとロックニーと、ジュニア時代に一緒にグランプリ(ISUジュニアグランプリシリーズ)に出場していました。僕が16歳ぐらいから彼らのことを知っていて、彼らを元々知っているからこの環境にも結構すぐ慣れたというのもあります。

――出会うべくして、皆が出会ったといいますか。

柴田:ドラマティックですね(笑)

高橋:ドラマティックだよね。本書きたいぐらいだよね(笑)

インタビュー後編では、シカゴでの練習や食生活、さらに新しいシーズンへのアピールポイントを話して下さいます。

テキスト/インタビュー/構成:島津愛子、Pigeon Post ピジョンポスト
取材日:2016年9月2日

photo

Pigeon Post ピジョンポスト
フィギュアスケーターの"声" "今"を届ける記者チーム(Pigeon Post HP)。
日本チームを中心に、世界のフィギュアスケートを特集する日本語英語のバイリンガルサイトで、インタビュー・リポートを掲載。Twitterをポータルとして、新しい記事の紹介やニュース、イベントのリポートまで、ワンストップで伝える。FacebookもTwitterと連携させている。

お知らせ

KENJIの部屋

◆J SPORTSオンデマンド
「ウインタースポーツパック」では
KENJIの部屋を配信!

第1弾【岡山男子スペシャル】
岡山県にゆかりのあるスケーター島田高志郎選手、無良崇人選手、田中刑事選手が登場!
第2弾【若手コーチスペシャル】
中庭健介コーチ、川原星選手、本田武史コーチが登場!

■ウインタースポーツパック:月額1,800円(税抜)
※25歳以下の方は「U25割」で半額の900円(税抜)
詳しくはこちら »

スカパー!×J SPORTS J SPORTS オンラインショップ