宇野昌磨(18)
若き『演技構成点のエリート』の猛追
達人が唸る【SS(スケーティング技術)】に唸ろう

演技構成点満点の選手達が四回転計5回でパーフェクションに挑む――ピョンチャン五輪でそうなれば、そのジャンプ構成が出来るであろう宇野選手にも勝機があります。羽生選手、チャン選手、ハビエル・フェルナンデス選手(スペイン)、デニス・テン選手(カザフスタン)らの上位選手の演技構成点が満点付近で頭打ちになっている間、この2シーズンの内に宇野選手が演技構成点でどこまで詰められるかによって、ピョンチャンの表彰台も見えてくるでしょう。
演技構成(Program Component)とはプログラムを「構成」する5項目。スケーティング技術【(採点表の表記)SS】|トランジション(エレメンツの繋ぎ)【TR】|パフォーマンス・決定力(その日の出来)【PE】|踊り・振付【CH】|インタープリテーション(interpretation 音楽や演目の“表現”)【IN】の各項目が10点満点で評価されます。演技構成点の満点は、男子ショートで50点男子フリーで100点。5項目で平均して1点違うと、総合で男子では15点の大差になってしまいます。
宇野選手の演技構成点、特にこのボストンワールドの前に分かっておきたいスケーティング技術【SS】について、澤田亜紀先生に掘り下げて頂きます。

PP:陸のダンスのように、技術と振付【CH】×お芝居【IN】=踊り、という捉え方でフィギュアスケートも見れば、CHとINは分かりやすいです。宇野選手の踊りを見れば、CHの面では、弾性や柔軟性、見る者に音を楽しませる音楽性を持ち、肩を外側に旋回させて創り出す腕の造形等、詩情を描写する独自のタッチがあります!INの面では、哀愁MAXの独自の魅せ方が18歳にして確立されています!……でも、選手先生方から評価の高い宇野選手のスケーティング技術【SS】に関しては、例えばチャン選手や小塚崇彦さんのような「目に見えて分かる凄み」が素人には伝わらないというか。スケーターの皆さんが讃えられていた髙橋大輔さんのスケーティングもそうだったと思うんです。佐野稔先生も「大輔のスケーティングはテクニック!」と絶賛されていました。でもそれは「達人以外には見出せない系」のうまさ、というか…… 。

澤田:(笑)そう……かもしれないですけど、例えば宇野選手の一番の見どころの「クリムキンイーグル」、あれは凄いスケーティング技術なんですよ!

PP:バレエのグランプリエ(:180°に足を開いて腰を膝まで落とす)で仰け反る(※陸では不可能)。

澤田:エッジは親指側に倒しているんです!

PP:それでバランスを取っている(※真似をすれば様々な部位が悲鳴を上げる)!

澤田:脚力や体幹の強さがそれを可能にしていますが、ちょっとでも乗る位置を間違えるとエッジがすっぽ抜けてこけてしまいます。

PP:神業的なエッジの感覚を持っているんですね。

澤田:他に見えやすいところでは、演技の間にクロスで「漕いでない」んですよ。

PP:足を右左右左と交差(cross)してスピードを出す滑りですね。

澤田:髙橋さんも、そのクロスの数が少なかったと思います。例えば、ステップのモホークの右→左の足替えだけでビュンッとスピードを出せたり。片足のインからアウトのチェンジエッジで、膝の曲げ伸ばしだけでスーーーーッと滑って行ったり。

PP:技巧でスピードを出せるんですね。達人を唸らせる。

澤田:スケーティングのうまさには「器用に出来る」「基礎が美しい」という2種類があると思います。宇野選手の場合は「器用」に、ステップを踏みながらスピードが出せる。クロスでスピードを出すのは誰もが出来ることなので、それが少なければトランジション【TR】の評価にも繋がります。

PP:ほぼ全編、Figure Skating(スケートで図形=figureを描く)になっていると。

澤田:スピンの前でも、「ええー、それからスピン入るの!?」と驚くような姿勢で入っています。普通の選手がやるとエッジがすっぽ抜けますからね(笑)そういった難しいことが軽々と出来る。そこにも凄いスケーティング技術が表れています。

世界フィギュアスケート選手権男子シングル競技は、4月14日(木)午後2:00〜J SPORTS 4で放送されます。出場全選手の演技、会見とインタビューもお楽しみ下さい。

解説:澤田亜紀(関西大学アイススケート部コーチ)
インタビュー/テキスト/構成:Pigeon Post ピジョンポスト 島津愛子

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Pigeon Post ピジョンポスト
フィギュアスケーターの"声" "今"を届ける記者チーム(Pigeon Post HP)。
日本チームを中心に、世界のフィギュアスケートを特集する日本語英語のバイリンガルサイトで、インタビュー・リポートを掲載。Twitterをポータルとして、新しい記事の紹介やニュース、イベントのリポートまで、ワンストップで伝える。FacebookもTwitterと連携させている。

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