クラシックバレエの国に息づく芸術性
ベースに無駄のない技術をしっかり

ロシアの組はベーシックなスケーティングを大事にしている印象です。一つ一つの動作の姿勢がしっかり伸びていて、無駄のない綺麗なスケーティングをしています。ペアをやる前、シングルの時からスケーティングの力をつけ、元々の基礎がきちんとした選手がペアになってさらに磨かれるという印象ですね。ジャンプでも体幹の部分、お腹から腰にかけて真っ直ぐな軸を作れるので、例えばスロー(ジャンプ)で投げる時に軸がズレて斜めになっても、戻して着氷をするといったことが可能になります。また、ロシアはクラシックバレエの大国でもあり、バレエやダンスの先生たちに芸術面や小さいリフトなどを教われる環境です。

今のロシアはニーナ・モゼルコーチの門下、やはりヴォロソジャル/トランコフ組(ソチ五輪金メダリスト)の存在が大きいですね。2人ともバンクーバー五輪シーズンまでは違う選手とペアを組んでいましたが、その頃からそれぞれ素晴らしい選手で、ペア選手としての形ができていました。だからと言って、実力があって完成された選手同士が組めば良いペアになるというわけではないのがペアの難しさですが、この2人はファーストイヤーからバッチリうまくいくだろうと思わせました。ヴォロソジャルの前のパートナー(スタニスラフ・モロゾフ)がコーチングスタッフに入っていたのもよかったのでしょう。

この頃の彼らは、技術面は絶対におろそかにしないけれども、それを超えた所、芸術の域で演技している感じがします。サイドバイサイド(SBS)のジャンプは、普通は各々跳び方の癖が出るものですが、この2人は癖がないというか、癖すら同じというくらい入り方から出方まで同じジャンプです。ツイスト(リフト)やスローも幅や高さがあり、かつ綺麗なポジション。エレメンツができるのはもう当たり前で、さらにそこから芸術面で細かい所まで詰めてきます。演技の前、リンクに登場する時から物語に入っている。最初から素晴らしい身体と技術を持っていて、それをモゼル先生の所で磨いたからもっと上に来られたのでしょう。

このチームにはもう一つ素晴らしい組、ストルボワ/クリモフ組(2015年ISUグランプリシリーズ・ファイナル金メダリスト)もいます。この2人を初めて見た時、特にストルボワのスケーティングの能力がすごいと思いました。滑りもそうですが、スケートの技術と共に体の使い方、体のキレが彼女にはあり、磨いていったらすごい選手になるという予感がありました。ストルボワの着氷の流れは本当に素晴らしいです。片足で降りているのに、(ありえないことですが)「もう一度氷を押したのかな?」と思ってしまうくらい、降りた後に滑っていきます。

ロシアではタマラ・モスクヴィーナコーチが素晴らしいペアチームを輩出しています。昔から線の美しい綺麗なスケーティングを指導されていますね。川口/スミルノフ組(2015年ISUグランプリシリーズ・ファイナル銅メダリスト)は、ベレズナヤ/シハルリドゼ組(2002年ソルトレイクシティ五輪金メダリスト)を思い出させるような美しさがあります。また、今シーズン川口選手のヘアスタイルも変えてより一層新たな雰囲気になり、ベテランの美しさが一段とスケーティングに現れていますね。4回転スローも確率が良くなっていますので、パワーアップした2人の活躍がとても楽しみです。

限界までトライするスロー!
最近は表現でもトップクラスに

中国は、ホンボー・ツァオコーチがチームの中心となり、特に芸術面が新たな雰囲気になってきたと感じます。振付をローリー・ニコルやデイヴィッド・ウィルソンに依頼して、さらに磨きがかかり、斬新な演技を毎回見るたびに驚いています。元々技術は上手ですが、例えばスイ/ハン組(2015年世界選手権銀メダリスト)などは身のこなしがとても上手になりましたね。スイ選手に女性らしさが増し、踊る気持ちが前面に出てきています。体格差が少ない2人ですが、練習量とタイミングでツイストやスローといった大技も(4回転にするまで)きちんとできます。長く組んでいるので、お互いのタイミング、ここで跳ばせるというのがよくわかっているのでしょう。

中国の選手のスローは特に、距離を出すために「かなり投げている」ように私には見えます。スローでどれだけ投げるかというのは、国というよりも先生の指導によってだいぶ異なる部分です。中国の投げ方は、一つ間違えて途中で開いてしまえば大怪我、というような勢いがあるものですが、女性もそれに耐えられるようしっかり技術をつけているのだと思います。また、ツイストは少し斜めに角度をつけて投げることで、より高く見せるように見映えを工夫しています。これもキャッチが難しくなるので技術が必要です。ツイストは男性が力任せで投げるだけでは高さは出ず、女性が押し上げる力も必要になるので、タイミングですね。ツイストといえばペン/ジャン組(2015年世界選手権4位)が上手ですが、ジャンが上手な上、(ジャンより13歳年下の)ペンも組み始めからそう指導されたのでしょう。ペアは男性に経験があれば女性はやりやすいですし、男性側も癖がないパートナーには教えやすいので、ペン/ジャン組のような年の差ペアもよく見られます。前はペンが引っ張られている印象がありましたが、今は表現面も上手になり二人の一体感がより一層増しました。

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