ある地方都市の教室。ラグビー部に入って数日の中学1年生から声をかけられた。
「僕はサッカー部の部室がちらかっているのが嫌いでした。ラグビー部はきれいだった。だから移りました。間違っていますか」
 もちろん間違ってはいない。ま、「ラグビー部の部室のほうがワイルドなのでサッカー部をやめてきました」と明かされたとしても「クール!」と肩を叩いただろうが。

 部室や寮がきれいか。そのことがチームのあり方、強さに関係があるか。ある。それはきっと愛のストーリーだ。サッカーの元日本代表監督、岡田武史さんにかつてインタビューしたとき、こう話していた。横浜F・マリノスの指揮官に就任、開幕直前のころである。
「世界の一流のチームのクラブハウスの玄関はどこもきれいだった。だからここも片づけました。すぐ横にあった取材記者のためのスペースも別の場所へ移してもらって」
 F・マリノスはいきなり優勝した。

 愛の対象を大切に扱う。自然な感情だろう。ラグビーの試合直前、背番号1から23まで全選手のスパイクがこれ以上なく磨いてある。ヒモは新品。対戦相手はうれしくあるまい。革のボール時代、いいチームのそれはいつでも見事に光っていた。街の中華料理店、古びた一軒、カウンターのまわりも雑然、半年前の『週刊大衆』が積んであったりするのに妙にうまい。よく見ると鍋と杓子はピカピカである。まな板も清潔。あれと同じだ。調理へのラブ。ついでに客のスペースより料理人の働き場のほうが広い店はおいしい。

 女子ホッケーの名将、元日本代表監督の安田善治郎さんは、アテネ五輪出場を果たした韓国戦直前、胸の中で「勝った」と叫んだ。格上とされる韓国の選手の顔がやけに白かったからだ。日焼け止めを塗りたくっていた。
「あれで勝ったと思いましたね」
 部室の清掃とは別の話のようで似ている。つまり「何をラブしているか」。決闘の前でも肌のケアを忘れぬ者とそんなこと頭の隅にもない者はどちらが接戦に笑うのか。

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