彼のことを「エース」と呼ばなくなって、久しい。

ティム・リンスカム。メジャーリーグ・ファンにとっては言わずと知れた男―2008年から2年連続サイヤング賞を獲得したサンフランシスコ・ジャイアンツの元エースだ。

かつて2点台だった防御率は、今では5点台を切るのが精いっぱいになった。昨季は先発ローテーションから外され、プレーオフでもなかなか出番が回ってこなかった。

2008年、24歳の頃の彼を「全盛期」とするなら、全盛期の速球は平均時速94マイル(約151キロ)前後。今は同88マイル(約142キロ)以下に落ちた。

ウェブサイトfangraphs.comによると4シーム・ファストボールの使用率はかつての6割強から3割弱に激減。代わりに2シーム・ファストボールの使用率はかつての1割以下から2割近くまで増えた。三振奪取率やWHIP(安打と四球を出す確率)、被打率や被本塁打率なども微増している。

4シームから2シームへの移行は、全盛期からすでに始まっていたというが、明らかなのは「今のリンスカムはもう全盛期じゃない」ということ。今季は5月24日までの8試合で4勝2敗、防御率2.08と数字だけなら「エース復活?」を思わせる活躍を見せていたが、細かく数字を分析することが好きな人々からは「今年はたまたま好成績が残っているだけ。セイバーメトリックス的にはあまり変わってない」と一刀両断されている。

5月25日に敵地で行われたブルワーズ戦では今季5勝目を挙げているが、相手の2番クリス・デイビスに2打席連続本塁打。ブラウンに2ラン本塁打を浴びている。

「ブラウンには真っ直ぐが真ん中に入ったところ、デイビスにはカーブが甘く入ったのを打たれた」

とリンスカム。かつて少年ファンが挙って真似をした長髪はバッサリ切り落とし、今では短髪に口髭が特徴となっている。とは言え、体を大きく捻って、大きく踏み込んでいく独特の投球フォームは今もあまり変わらない。古い日本風に言えば「本格派から技巧派へ」変化している最中だという。当の本人は、今季の成功理由をこう語っている。

「球種にバラエティーがあることだね。どんな状況でもいろんな球種を不安なく投げられる」

かつてFreak=変種と呼ばれた若者も、今ではメジャー歴9年、31歳のベテランである。投げ方がどうであれ、メジャーで生き残るにはそれなりの成績を残さなければならない。今はまだ、2013年に交わした2年3500万ドルという契約に守られているが、同契約は今季限り。来季は違うユニフォームを着ている可能性だってある。

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